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製造現場から Microsoft Forms で上がる工程内の不良の報告を、不良の種類・工程・緊急度で分類し、品質管理と生産技術の担当に振り分ける

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

製造ラインから Microsoft Forms で上がる不良の報告を、届いたその場で不良の種類・発生工程・緊急度に分類し、品質管理と生産技術の担当へ Teams で振り分けます。台帳への記録も同時に済ませます。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
建設/物流/製造
対象部門
品質管理/生産
対象業務
分類・仕分け/台帳・マスタ管理
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
分類
主な効果
対応スピード向上/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 班長か作業者が、タブレットの Microsoft Forms で不良の報告を上げる
  2. 品質管理課の受付担当が、Forms の回答の一覧を開いて新しい報告を読む
  3. 自由記述の「状況」から、不良の種類(外観・寸法・異物・組付け・機能など)を判断する
  4. 出荷済みのロットか、同じ不良が続いているか、安全に関わるかを見て、急ぎかどうかを決める
  5. 生産技術課・設備保全・品質管理課のどこが持つかを決め、Teams のチャットか電話で知らせる
  6. 不良の台帳のスプレッドシートに、日時・ライン・工程・品番・種類・緊急度・担当を写す
  7. 担当から「受けた」と返事があれば台帳に印を付ける。返事が無ければ、もう一度連絡する
導入後(After)
  1. 人班長か作業者が、これまでどおり Microsoft Forms で報告を上げる
  2. 自動回答の送信をきっかけにフローが動き、回答の中身を取り出す
  3. 自動自由記述に安全に関わる語(けが・発煙・異臭など)があれば、AIを通さずに最優先の連絡を出す
  4. 自動AIが不良の種類・発生工程・事実(出荷済みか、連続数、設備の異常の記述)を拾い、根拠の文を写す
  5. 自動拾った事実を緊急度の規則に当てはめ、担当表から振り分け先を決める
  6. 自動不良報告の台帳(SharePoint リスト)に1行を作る
  7. 自動振り分け先の Teams のチャネルにカードを出し、受けたかどうかの返事を待つ
  8. 人担当がカードで「受ける」か「担当違い」を押す。分類が違えば直す
  9. 自動返事を台帳に書き戻す。緊急度の高い報告に返事が無ければ、決めた時間で再度知らせる
  10. 人分類できなかった報告と、担当違いと返された報告は、振り分けの担当者が見て決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 班長か作業者が、タブレットの Microsoft Forms で不良の報告を上げる
  2. 品質管理課の受付担当が、Forms の回答の一覧を開いて新しい報告を読む
  3. 自由記述の「状況」から、不良の種類(外観・寸法・異物・組付け・機能など)を判断する
  4. 出荷済みのロットか、同じ不良が続いているか、安全に関わるかを見て、急ぎかどうかを決める
  5. 生産技術課・設備保全・品質管理課のどこが持つかを決め、Teams のチャットか電話で知らせる
  6. 不良の台帳のスプレッドシートに、日時・ライン・工程・品番・種類・緊急度・担当を写す
  7. 担当から「受けた」と返事があれば台帳に印を付ける。返事が無ければ、もう一度連絡する

(a)読む人によって種類が変わる。 「バリが残っている」を外観とする人と寸法とする人がいます。「ねじが最後まで入らない」を組付けとする人と部品の寸法とする人がいます。台帳の不良の種類が担当者ごとにぶれるので、月末に種類ごとの件数を数えても、傾向として読めません。

(b)急ぐ報告が埋もれる。 600件のうち、すぐに動くべき報告は一部です。ところが受付の担当は届いた順に読むので、出荷済みのロットに関わる報告が、外観の軽微な報告の後ろに並ぶことがあります。夜勤帯の報告では、それが朝まで続きます。

(c)振り分けの目利きが1人にある。 「この症状なら刃具の摩耗だから生産技術」「この音の話なら設備保全」という判断は、経験の長い担当者の頭の中にあります。書かれた基準が無いので、ほかの2名は迷うたびに聞くか、品質管理課で抱えてしまいます。

  1. 【人】 班長か作業者が、これまでどおり Microsoft Forms で報告を上げる
  2. 【自動】 回答の送信をきっかけにフローが動き、回答の中身を取り出す
  3. 【自動】 自由記述に安全に関わる語(けが・発煙・異臭など)があれば、AIを通さずに最優先の連絡を出す
  4. 【自動】 AIが不良の種類・発生工程・事実(出荷済みか、連続数、設備の異常の記述)を拾い、根拠の文を写す
  5. 【自動】 拾った事実を緊急度の規則に当てはめ、担当表から振り分け先を決める
  6. 【自動】 不良報告の台帳(SharePoint リスト)に1行を作る
  7. 【自動】 振り分け先の Teams のチャネルにカードを出し、受けたかどうかの返事を待つ
  8. 【人】 担当がカードで「受ける」か「担当違い」を押す。分類が違えば直す
  9. 【自動】 返事を台帳に書き戻す。緊急度の高い報告に返事が無ければ、決めた時間で再度知らせる
  10. 【人】 分類できなかった報告と、担当違いと返された報告は、振り分けの担当者が見て決める

8番目が、この設計の分かれ目です。 振り分けの正しさを確かめるのは、受けた担当本人です。品質管理課の受付が全件を見直す設計にすると、60.0時間はほとんど減りません。 担当が自分の持ち分かを見るのは、どのみち報告を開いたときに行う確認です。

02今回想定するシステム構成

構成図
ラインのタブレット(Microsoft Forms の不良報告フォーム)
   │
   ▼【トリガー】When a new response is submitted
Power Automate(クラウドフロー)
   ├──▶ Get response details:回答の中身を取り出す
   ├──▶ 安全の語の照合(AIを通さない)── 当たれば最優先の連絡へ
   ▼
AI Builder のプロンプト(Run a prompt、JSON 出力)
   │   不良の種類/発生工程/事実(出荷済み・連続数・設備の記述)/根拠の文
   ▼
Power Automate
   ├──▶ 緊急度の規則(S/A/B)を当てはめる
   ├──▶ 担当表(SharePoint リスト)から振り分け先を引く
   ├──▶ 不良報告の台帳(SharePoint リスト)に1行を作る
   ▼
Microsoft Teams ── Post adaptive card and wait for a response
   │   受ける/担当違い/分類の修正
   ▼
台帳に書き戻す ──▶ 返事の無い S・A は別のフローで再通知
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウドフロー)Make、n8n、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(Run a prompt、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
連携SharePoint リスト(不良報告の台帳・分類の定義表・担当表)Microsoft Lists
通知Microsoft Teams(ラインごとの品質・生産技術・設備保全のチャネル)Outlook のメール
フォームMicrosoft Forms(不良報告フォーム)Google フォーム

入口は、Microsoft Forms の When a new response is submitted です。 このトリガーが返すのは回答のIDだけなので、Get response details で回答の中身を取り出します。 グループのフォームはドロップダウンに出てこないため、フォームの編集画面のアドレスにある「FormId=」の後ろの部分を手で入れる必要があるとされています。品質管理課のグループで作ったフォームなら、ここで一度つまずきます。

AIは、AI Builder のプロンプトを Run a prompt で呼びます。 2025年5月から「Create text with GPT using a prompt」の名前が Run a prompt に変わっています。プロンプトの出力には JSON を選べ、出力の形は例から読み取る Auto detected か、例を書き換えて固定する Custom で決まり、保存したときの形が実行時にも使われます。

担当への連絡は、Teams の Post adaptive card and wait for a response で出します。 カードをチャットかチャネルに出し、誰かが応答するまでフローを止めて待つアクションです。返ってきた応答を、そのまま台帳に書き戻せます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

フォームの回答が送信されたことを起点にします。 When a new response is submitted は回答の送信ごとに動くので、夜勤帯の報告も、上がったその場で振り分けられます。 1日数回の定時実行にはしません。まとめて処理すると、第3章の(b)がそのまま残ります。

フローは2本に分けます。 1本目は、報告を受けて分類し、台帳に書いてカードを出すフロー。2本目は、15分ごとに台帳を見て、緊急度 S・A の報告で「未受付」のまま決めた時間を過ぎたものを、もう一度知らせるフローです。1本目でカードの返事を待っているあいだは、そのフローが止まっているので、再通知の役は別のフローに持たせます。

同じ報告が二重に送られることがあります。 タブレットで送信を2回押したときです。台帳に、ライン・品番・ロット番号・発見時刻が同じ行が直近10分以内にあれば、新しい行を作らずに「重複の可能性」の印だけを付けます。 本当に別の不良が同じ時刻に2件出ることもあるので、消さずに印を付けて人が見ます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
不良の報告ライン、工程、品番、ロット番号、数量、発見時刻、報告者、自由記述の「状況」Microsoft Forms の回答
分類の定義表不良の種類ごとの名前・定義・典型的な書き方の例・含めないものSharePoint リスト
工程マスタラインごとの工程の名前と、現場での呼び方(「2番機」「仕上げ」など)SharePoint リスト
担当表不良の種類×工程×緊急度ごとの振り分け先のチャネルと、再通知までの時間SharePoint リスト
直近の報告同じライン・同じ品番の直近24時間の報告の件数と種類不良報告の台帳

質を決めるのは、分類の定義表です。 「外観」「寸法」「異物」「組付け」「機能」「設備起因の疑い」「材料起因の疑い」の7区分ほどに絞り、それぞれに「含めないもの」を書きます。 「バリは外観。ただし寸法の公差を外れていると書かれていれば寸法」のような境目を、経験の長い担当者に書いてもらいます。これが第3章の(c)の目利きを、紙に移す作業です。

工程マスタには、現場での呼び方を入れます。 報告には「研削」とは書かれず「3番の研削盤」や「仕上げ」と書かれます。呼び方の一覧が無いと、AIが工程を当て推量で埋めます。

直近の報告は、連続しているかを見るために渡します。 同じライン・同じ品番で同じ種類の報告が続いていれば、1件ずつは軽微でも工程に何かが起きている兆しです。AIに件数を数えさせず、フローの側で台帳を引いて数を渡します。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどうやって
回答の中身Microsoft FormsGet response details(トリガーが返す Response Id を渡す)
分類の定義表・工程マスタ・担当表SharePoint リストGet items
直近24時間の報告不良報告の台帳Get items の Filter Query で、ライン・品番・発見時刻を絞る

Get items は Filter Query に OData の条件式を書けます。 「ラインが L2 で、品番が同じで、発見時刻が24時間以内」のように絞ってから件数を数えます。台帳を全件読んでからフローの中で絞ると、行が増えるにつれて遅くなります。 Top Count で取る件数の上限も決めておきます。

定義表と工程マスタは、毎回まるごとプロンプトに入れます。 7区分と工程の一覧なら短い表で済み、定義表を直せば翌回の分類から効くようにしておけます。プロンプトの文面に区分を書き込んでしまうと、区分を直すたびにプロンプトの保存し直しが要ります。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 安全の語の照合 … 「けが」「指」「挟まれ」「発煙」「火花」「異臭」「漏れ」などの語の一覧と自由記述を照らし、当たればAIを通さずに最優先の連絡を出します。 語の一覧は安全衛生の担当と決めます
  2. 空の報告の確認 … 自由記述が空か数文字しか無いものは、AIに渡さずに振り分けの担当者へ回します
  3. 工程の呼び方の置き換え … 工程マスタの呼び方の一覧で、報告の工程欄を正式な工程名に置き換えます。置き換えられなかったものは原文のまま渡します
  4. ロット番号の形の確認 … 品番ごとの決まった形(桁数・先頭の記号)に合わないものは「形が合わない」と印を付けます。AIに直させません
  5. 直近の報告の件数 … 同じライン・品番・種類候補の直近24時間の件数を数え、プロンプトに渡します
  6. 個人名の扱い … 報告者の氏名はプロンプトに渡さず、台帳にだけ残します

1番目をAIの前に置くのが、いちばん大事です。 安全に関わる報告は、AIの応答を待つ数十秒も惜しい報告です。語が当たれば先に知らせ、そのあとでAIに分類させます。 語の一覧から漏れた書き方は、AIの側で safety_mention として拾い、二重に網をかけます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、報告文から決まった項目を写し出し、定義表に照らして不良の種類を1つ選び、その根拠の文を書き出すことです。

項目させること判断できないときの扱い
不良の種類定義表の区分から1つ選ぶ当てはまらなければ unclassified
発生工程工程マスタの工程名から選ぶ書かれていなければ unknown
出荷済みのロットか報告文の記述をそのまま写す書かれていなければ not_stated
連続しているか報告文の「〇個続けて」「さっきから」などの記述を写す書かれていなければ not_stated
設備の異常の記述異音・振動・停止・警報などの記述を写す無ければ空
安全に関わる記述けが・発煙などの記述を写す無ければ空
根拠種類を選んだ根拠の文を報告文から写す写せなければ unclassified

右端の列で、「書かれていない」を値として持たせます。 出荷済みかどうかが書かれていない報告で false を返すと、緊急度の規則が「出荷済みではない」と読みます。書かれていないことと、出荷済みでないことは違います。 not_stated なら、規則の側で「確認が要る」として一段上げられます。

させないこと理由
緊急度を決めること書き方の穏やかさに引っ張られる。事実を規則に当てはめる
振り分け先を決めること担当表で決まる。担当の異動のたびにプロンプトを直さない
原因を推定すること原因の調査は生産技術と品質管理の仕事
出荷してよいかを書くこと品質の判断。この構成では行わない
ロット番号・数量を直すこと追跡に使う値。原文のまま

1行目が、この構成の中心です。 AIに緊急度を聞くと、「少し気になる程度ですが、念のため」と書かれた報告を低く出します。ところが現場は、気になったときほど控えめに書きます。 事実だけを写させれば、言い回しに左右されません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは製造工場の品質管理課で、工程内の不良の報告を受け付ける立場です。
報告文に書かれていることだけを使って、決まった項目を埋めてください。
推測で埋めないでください。

【不良の種類の選び方】
- 下の「分類の定義表」の区分から1つだけ選んでください。
- 定義表の「含めないもの」に当たる場合は、その区分を選ばないでください。
- どの区分にも当てはまらない、または迷う場合は unclassified にしてください。
  迷ったときに近そうな区分を選ばないでください。
- 選んだ根拠の文を、報告文からそのまま evidence に写してください。
  写せる文が無い場合は unclassified にしてください。

【発生工程の選び方】
- 下の「工程マスタ」の工程名から選んでください。
- 報告文に工程が書かれていなければ unknown にしてください。
  品番やラインから工程を推測しないでください。

【事実の写し出し】
- shipped_lot:出荷済み・客先へ納入済みと書かれていれば yes、
  出荷前・社内在庫と書かれていれば no、書かれていなければ not_stated。
- consecutive:連続している、何個も出ている、という記述があれば
  その文を写してください。無ければ not_stated。
- equipment_mention:異音・振動・停止・警報・油漏れなど、設備の状態に
  ついての記述を写してください。無ければ空にしてください。
- safety_mention:けが・挟まれ・発煙・火花・異臭など、人の安全や
  火災に関わる記述を写してください。無ければ空にしてください。

【厳守事項】
- 緊急度、急ぐべきかどうかは書かないでください。
- 原因の推定、処置の提案、出荷の可否は書かないでください。
- ロット番号・品番・数量は、報告のとおりに写してください。
  桁を補う、記号を直すことをしないでください。
- 書かれていないことを「無い」と書かないでください。
  書かれていない場合は not_stated です。
- Don't include JSON markdown in your answer.

【分類の定義表】{definitions}
【工程マスタ】{processes}
【報告】ライン:{line}/工程欄:{process_text}/品番:{part_no}
    ロット番号:{lot_no}/数量:{qty}/発見時刻:{found_at}
    状況:{situation}
【同じライン・品番の直近24時間の報告】{recent_summary}

「迷ったときに近そうな区分を選ばない」を明記しないと、いつもどこかの区分に入ります。 モデルは何か選ぶほうを好みます。新しい種類の不良ほど既存の区分に押し込まれ、台帳から見えなくなります。

「書かれていないことを『無い』と書かない」も同じ理由です。 出荷済みかどうかの欄が空のとき、何も言わなければ no で埋めます。not_stated という逃げ道を用意して、そこへ誘導します。

最後の英文の1行は、公式の案内に合わせたものです。 JSON が作れないというエラーが出るとき、この一文を足すよう案内されています。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。 AI Builder のプロンプトの出力を JSON にし、例を書き換えて Custom の形に固定します。

{
  "defect_type": "外観 | 寸法 | 異物 | 組付け | 機能 | 設備起因の疑い | 材料起因の疑い | unclassified",
  "process": "",
  "evidence": "",
  "facts": {
    "shipped_lot": "yes | no | not_stated",
    "consecutive": "",
    "equipment_mention": "",
    "safety_mention": ""
  },
  "lot_no_as_written": "",
  "qty_as_written": ""
}

JSON にする理由の1つ目は、緊急度を規則で決められることです。 facts の各項目を、フローの条件分岐でそのまま読めます。

緊急度条件(どれか1つに当たれば)振り分け
S前処理で安全の語が当たった/safety_mention が空でない/shipped_lot が yes品質管理課長と担当表の振り分け先へ同時に。再通知15分
Aconsecutive が空でない/直近24時間で同じ種類が3件以上/equipment_mention が空でない/shipped_lot が not_stated で数量が10以上担当表の振り分け先へ。再通知60分
B上のどれにも当たらない担当表の振り分け先へ。再通知なし(翌朝の一覧に載る)
保留defect_type が unclassified/evidence が空振り分けの担当者へ

2つ目は、Custom の形に固定しておけることです。 Auto detected のままだと、プロンプトを試すたびに形が検出し直されます。保存した形が実行時に使われ、入力が変わっても形は変わりません。 後段の条件分岐が、項目名の変化で壊れなくなります。

3つ目は、facts を後から読み直せることです。 緊急度の規則を変えたとき、過去の報告の facts に新しい規則を当て直せば、「新しい規則ならどれが S だったか」を数えられます。 AIに緊急度を書かせていたら、この見直しはできません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Microsoft FormsWhen a new response is submitted、Get response details報告の受け取り
SharePoint リスト(定義表・工程マスタ・担当表)Get items分類と振り分けの材料を引く
不良報告の台帳(SharePoint リスト)Create item、Update item1行を作り、受付の返事と分類の修正を書き戻す
AI Builder のプロンプトRun a prompt種類・工程・事実の写し出し
Microsoft TeamsPost adaptive card and wait for a response振り分け先へのカードと返事の受け取り
Microsoft TeamsPost message in a chat or channelS の同時連絡と、再通知

カードには、報告の原文と、AIが写した evidence、緊急度とその理由になった条件を並べます。 ボタンは「受ける」「担当違い」の2つと、不良の種類を直す選択欄を置きます。担当が開いた画面だけで、受けるかどうかを決められるようにします。

チャネルの選び方に制約があります。 Teams の公式の説明では、プライベートチャネルへの投稿は現在できないとされています。振り分け先のチャネルは標準チャネルにします。また、カードを含むメッセージは約28KBが上限で、超えると失敗するとされているので、報告の原文が長いときは先頭を切って台帳へのリンクを付けます。

生産管理システムには書き込みません。 ロットの保留や出荷の停止は、品質管理課が生産管理システムの画面で行う判断です。この構成が出すのは、誰が受けるべきかの連絡までです。

Step9

人が確認する

人が見るのは、次の3つの場面です。

  1. 振り分け先の担当がカードを開いたとき … 自分の持ち分かと、不良の種類が合っているかを見ます。違えば「担当違い」を押すか、種類を直します
  2. 保留の報告 … unclassified か根拠の無いものは、振り分けの担当者が原文を読んで決めます
  3. 担当違いと返された報告 … 振り分けの担当者が、正しい先へ回します。担当表のどこが違っていたかを記録します

品質管理課の受付が全件を見直すことはしません。 全件を見直す設計にすると、第10章の20.0時間に収まりません。その代わり、担当が直した種類と担当違いの件数を毎週数えます。 数が多い区分は、定義表の「含めないもの」が足りていません。

S の報告だけは、課長にも同時に届けます。 安全と出荷済みのロットに関わる報告は、担当1人の判断に任せない運用にします。

目標は、600件をならして1件2分です。 カードを開いて受けるだけの報告は1分もかかりませんが、保留と担当違いは原文を読み直すので数分かかります。2分を大きく超える月は、定義表か担当表が現場の実態とずれています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
安全の語が当たったAIを待たずに課長と担当へ連絡。そのあとで分類する
自由記述が空か数文字AIに渡さず保留。振り分けの担当者から報告者へ聞き返す
unclassified が返る保留として振り分けの担当者へ。「その他」に入れない
JSON が作れないエラー同じ入力で1回だけ再実行。続けて失敗すれば保留へ
同じ報告が二重に送られた直近10分の同じライン・品番・ロット・時刻を照合し、印を付けて人が見る
ロット番号の形が合わない原文のまま台帳に入れ、「形が合わない」の印を付ける
カードの返事が来ない別のフローが再通知。2回目も返事が無ければ課長へ
担当違いが返る振り分けの担当者へ。担当表の見直しの記録に残す
メッセージが大きすぎる原文の先頭だけを載せ、台帳へのリンクを付ける

上の3行がいちばん大事です。 どれも「AIに決めさせない」ための行で、安全と、分類できない報告の扱いを、正常系と同じくらい丁寧に作ります。

Step11

記録を残す

  • フォームの回答ID、報告の原文、受け取った時刻
  • AIに渡した入力(定義表と工程マスタの版を含む)と、返ってきたJSONの全文
  • 当てはめた緊急度と、どの条件に当たってその緊急度になったか
  • 振り分け先と、カードを出した時刻、受けた時刻、受けた人
  • 担当が直した不良の種類と、担当違いの記録
  • 再通知の回数と時刻

2つ目で定義表の版を残すのは、区分を後から直すためです。 区分を直すと過去の分類の意味が変わり、どの版の定義で分けたかが残っていないと、月ごとの件数を比べられません。

5つ目が、定義表を育てる材料です。 担当が直した種類を区分ごとに数えると、どこの境目が曖昧かが分かります。経験の長い担当者の目利きを、少しずつ定義表に写していく記録です。

04実装レベルの3段階

最小構成:定義表と報告を手元のAIサービスに貼り、種類と事実を出させる / 1件ごとの分類の下書き
半自動化:上記+フォームの送信でフローが動き、分類・緊急度・振り分けを Teams のカードで届け、台帳に記録する / 分類、振り分け、台帳への記録、受付の返事の回収
本格構成:上記+未受付の再通知、担当違いの集計からの担当表の見直し、月次の種類別の件数の報告を足す / 振り分けの全体と、定義表・担当表の手入れの材料づくり

半自動化で、1件6分が2分になり、この段階が本記事の想定です。 読むこと、写すこと、連絡することが自動になり、残るのは担当がカードを見て受けることと、保留を読むことです。本格構成で減るのは工数より、返事の無い報告の追いかけと、定義表の手入れにかかる手間です。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
600 件
1件あたり現在時間
6 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  600件 × 6分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 600件 × 2分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価3,500円)
168万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数のラインを持つ部品加工・組立の工場で、工程内で見つかった不良の報告が月に数百件あり、品質管理課の特定の担当者が1件ずつ読んで種類と緊急度を決め、生産技術や設備保全へ電話や Teams で回している場合。報告はすでに Microsoft Forms でタブレットから上がっているが、その先の振り分けと台帳への転記が手作業になっている場合。Microsoft 365 を使っていて、台帳と分類の定義表を SharePoint のリストに置ける場合。
向いていない
  1. 不良の報告が月に数十件で、班長が品質管理の担当に直接声をかけて済んでいる場合。MES や品質管理システムにすでに不良の登録画面があり、不良コードを現場で選んで入力する運用が定着している場合。なお、不良品を出荷してよいか、ラインを止めるか、どの処置をとるかという品質の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の不良の報告から50件を選ぶ(うち数件は、急ぐべきだった報告と、分類に迷った報告を入れる)
  2. 経験の長い担当者に、7区分ほどの定義表を「含めないもの」まで書いてもらう
  3. 定義表と50件の自由記述を、Microsoft Copilot などの手元のAIサービスに貼り付ける
  4. 「定義表の区分から1つ選び、根拠の文を写してください。当てはまらなければ『分類できない』としてください。出荷済みか、連続しているか、設備の異常、安全に関わる記述を写してください。書かれていなければ『記載なし』としてください」と指示する
  5. 出てきた結果を、当時の台帳の種類と、経験の長い担当者の判断と突き合わせる

50件は必ずやってください。 フローを組む前に、「定義表で分けられるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
担当者の判断とおおむね同じ種類になったフローの組み立てに進む
特定の2区分のあいだで揺れる定義表の「含めないもの」を足す。構成は有効
分類できないが多い区分が現場の実態に合っていない。定義表を作り直す

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
グループのフォームがトリガーの一覧に出ないフォームの編集画面のアドレスの「FormId=」の後ろを手で入れる
AIに緊急度を書かせて、穏やかな報告が低く出る事実だけを写させ、緊急度は規則で決める
書かれていない欄が no で埋まるnot_stated を値として用意し、指示に明記する
新しい種類の不良が既存の区分に押し込まれるunclassified を用意し、迷ったら選ばないと書く
安全に関わる報告がAIの応答を待つ語の照合をAIの前に置く
プロンプトを試すたびに JSON の形が変わる例を書き換えて Custom にし、保存する
プライベートチャネルに投稿できない振り分け先は標準チャネルにする
カードが大きすぎて失敗する約28KBが上限。原文の先頭だけを載せ、台帳へのリンクを付ける
カードの返事待ちでフローが止まり、再通知が出せない再通知は別のフローにする
担当違いが続く担当表の組み合わせを見直し、記録から直す
定義表を品質管理課だけで作る生産技術と設備保全にも見てもらう。振り分け先の目で境目を決める

上から2行目と3行目が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「AIに判断の言葉を書かせる」ことから起きます。AIには報告に書かれた事実だけを写させ、判断は規則と人の側に置くという線を守れば、運用に乗ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 品番、ロット番号、数量、工程、不良の状況の記述、報告者の名前、そして出荷済みのロットに不良があったかもしれないという情報です。

  1. 報告者の氏名をAIに渡さない … 分類に氏名は要りません。台帳にだけ残し、プロンプトには入れません
  2. cross-geo の扱いを確かめる … 日本の地域では既定のモデルが GA (cross-geo) と表示され、地域の外でデータを処理する場合があるとされています。客先の品番や不良の情報を地域外で処理してよいか、客先との取り決めと社内の規程を先に確かめます
  3. 出荷や処置の判断をこの構成に持たせない … 出すのは誰が受けるべきかまでです。ロットの保留や客先への連絡は、品質管理課が決めます
  4. 安全の語の一覧を安全衛生の担当と決める … AIの前に置く網です。一覧に無い書き方はAIの側の safety_mention で拾いますが、一覧を育てるのは人の仕事です
  5. 台帳とチャネルの閲覧範囲をそろえる … 不良の情報は社内でも広く見せるものではありません。SharePoint のリストと Teams のチャネルの権限を、品質管理・生産技術・設備保全に絞ります

誤りが起きた場合のリスクは、急ぐべき報告が通常の扱いになることと、報告が誰にも受けられないまま残ることの2つです。 前者は緊急度をAIに書かせると起き、後者は再通知が無いと起きます。どちらも規則と別のフローで守る設計にしています。

10まず何から始めるか

1週目:分類の定義表を書く

経験の長い担当者に、7区分ほどの不良の種類を、定義・典型的な書き方・含めないものまで書いてもらいます。生産技術と設備保全の担当にも見てもらい、振り分けの境目をそろえます。 工程マスタに現場での呼び方も足します。

2週目:50件で試す

先月の報告から50件を選び、手元のAIサービスに定義表と一緒に貼って分類させます。当時の台帳の種類と、経験の長い担当者の判断と突き合わせ、揺れる区分を定義表に戻します。

3週目:緊急度の規則と担当表を決める

S・A・B の条件と、種類×工程×緊急度ごとの振り分け先、再通知までの時間を、品質管理課長と生産技術・設備保全の責任者で決めます。 安全の語の一覧は安全衛生の担当と作ります。

4週目:フォームからカードまでをつなぐ

Power Automate で、フォームの送信から AI Builder のプロンプト、台帳への記録、Teams のカードまでを作ります。最初の2週間は、カードを品質管理課のチャネルだけに出し、受付の担当がこれまでどおり振り分けながら、AIの分類と見比べます。

2か月目: 振り分け先のチャネルへの配信に切り替え、再通知のフローを足します。担当違いと種類の修正の件数を毎週数えます。3か月目以降: 1件6分が何分になったかを実測し、担当違いと保留が落ち着き、定義表の手入れが月1回で済むようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
When a new response is submitted と Get response details があり、トリガーが Response Id を返すこと。グループのフォームはドロップダウンに出ず、「FormId=」の後ろを手で入れる必要があること。組織のアカウントでのみ動くことMicrosoft Learn: Microsoft Forms connector2026-10-13
2025年5月から Create text with GPT using a prompt の名前が Run a prompt になったこと。プロンプトの入力に前の手順の内容を入れられること。Start and wait for an approval of text で人の確認を挟めることMicrosoft Learn: Use your prompt in Power Automate2026-10-13
出力に JSON を選べ、形が Auto detected か Custom で決まり、保存時の形が実行時に使われること。スキーマを直接編集できず、キーの無い配列は定義できないこと。JSON が作れないときに「Don't include JSON markdown in your answer」を足すよう案内されていることMicrosoft Learn: JSON output2026-10-13
既定のモデルが GPT-4.1 mini で、Mini の区分が要約や情報の作業に向くこと。温度の既定が0であること。Power Automate でプロンプトを使うとプロンプトビルダーのクレジットを消費し、AI Builder のクレジットが先に使われることMicrosoft Learn: Change the model version and settings2026-10-13
日本で GPT-4.1 mini が GA (cross-geo) であり、cross-geo のモデルは地域外でデータを処理する場合があることMicrosoft Learn: Prompt model availability by region2026-10-13
Post adaptive card and wait for a response が応答があるまでフローを止めること。Post message in a chat or channel があること。メッセージの上限が約28KBであること。プライベートチャネルへの投稿ができないこと。Workflows アプリの許可が要ることMicrosoft Learn: Microsoft Teams connector2026-10-13
Create item、Get items、Update item があり、Get items に Filter Query(OData の条件式)と Top Count があることMicrosoft Learn: SharePoint connector2026-10-13

ラインを止めるか、ロットを保留するか、どの処置をとるかは、品質管理課と生産技術の責任者が決めてください。 本記事は上記の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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