AIのグラウンディングとは?|答えを根拠につなぐ仕組み

AIのグラウンディングとは?|答えを根拠につなぐ仕組み

「社内でAIを使い始めたら、製品の仕様をもっともらしく間違えて答えた。グラウンディングという仕組みを入れれば直ると聞いたが、何をする仕組みなのかが分からない」「提供元の説明を読むと、検索と結びつける、社内データと結びつける、といろいろ書いてあって、どれを選べばよいのか見当がつかない」。AIの導入を任された担当者からは、こうした戸惑いがよく聞かれます。言葉だけが先に広まり、中身の比べ方が伝わっていないのは無理もありません。グラウンディングは、AIを賢くする魔法の設定ではありません。本当は、AIの答えに、人があとから確かめられる根拠の場所を結びつけておく仕組みです。この記事では、グラウンディングの意味、結びつける先の3種類の比べ方、結びつけても残る誤り、導入するときに決めることを、マーケ業務の例とともに整理します。


カメ先生カメ先生

グラウンディングは、答えを地面につなぐ、という意味の言葉だね。AIが記憶だけで答えるのではなく、検索結果や社内の文書、決まったデータを読んでから答え、どこを読んだかを一緒に示す。そうすると、人が根拠を開いて確かめられるようになるんだ。


カメ子カメ子

根拠につながっていれば、答えは正しいと考えていいんですか。


カメ先生カメ先生

そこが誤解されやすいところだよ。根拠を読み違えることも、古い根拠を引くことも、根拠が無い所を埋めてしまうこともある。だから根拠を必ず答えに出させて、根拠が無いときは答えさせない。根拠そのものが正しいかどうかは、人が持つんだ。


カメ子カメ子

答えを保証する仕組みではなく、確かめやすくする仕組みということですね。


この記事のポイント
  • グラウンディングは、AIの答えを検索結果・社内の文書・データベースなどの確かめられる根拠に結びつける仕組み
  • 結びつける先は大きく3種類。業務ごとに、根拠の質・更新の手間・費用で選ぶ
  • 結びつけても誤りは残る。根拠を答えに出させ、根拠が無いときは答えさせず、根拠の正しさは人が持つ

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目次

グラウンディングとは、答えを根拠に結びつけること

グラウンディングとは、生成AIが答えを作るときに、外にある確かめられる情報を読ませ、その情報に基づいて答えさせる仕組みのことです。読ませる情報は、ウェブの検索結果、社内の文書、データベースや表などです。答えには、どの情報のどの部分を使ったかを示す出典を添えるのが一般的な形です。

グーグルの開発者向けの説明では、検索と結びつける機能について、モデルを最新のウェブの情報につなぎ、作り話を減らし、確かめられる出典を示すものと説明しています。ここで大切なのは、根拠の場所が答えと一緒に返ってくる点です。答えの正しさを人が確かめたいとき、どこを開けばよいかが分かります。

言葉の由来は、英語で地面につなぐことを指す語です。電気の分野でも、機器を地面につないで安全を保つことを同じ語で呼びます。AIの分野では、答えを宙に浮いた記憶ではなく、手で触れられる根拠の上に置く、という意味合いで使われています。本稿ではこの言葉を、主題語としてそのまま使います。

よく比べられるのが、社内のデータでAIを追加で学習させる方法です。追加の学習はモデルそのものを作り変えるのに対し、グラウンディングはモデルを変えず、答えるたびに外の情報を読ませます。そのため、根拠を差し替えれば、次の答えからすぐに反映されます。どちらを選ぶかの詳しい比べ方は、追加学習と社内データの渡し方を扱った記事で整理しています。

結びつけないAIは何を元に答えているか

グラウンディングをしないAIは、学習した時点までの大量の文章から身につけた言葉のつながりを元に答えます。一般的な知識や文章の書き方には強い一方で、学習した後に変わった情報や、公開されていない社内の情報は知りません。知らないことを聞かれても、それらしい文章を作ってしまうことがあります。作り話が混ざる仕組みそのものは、ハルシネーションを扱った記事で詳しく説明しています。

マーケ業務で困るのは、この状態では答えの元をたどれないことです。「この製品は何社に導入されていますか」とAIに聞き、「約三百社」と返ってきても、その数字がどこから来たのかを確かめる手段がありません。正しいかどうかを知るには、担当者が一から調べ直すしかなく、AIを使った意味が薄れます。

グラウンディングは、この「元をたどれない」という問題に対する答えです。答えそのものを正しくするというより、答えの元をたどれる状態にすることが第一の役割だと考えると、導入の期待値を正しく置けます。

グラウンディングで答えの形がどう変わるか

グラウンディングを使うと、AIの答えの返り方が変わります。多くの提供元では、答えの本文とは別に、使った根拠の一覧と、本文のどの部分がどの根拠に基づくかを示す情報が返ってきます。グーグルの検索と結びつける機能では、実行した検索語、参照したページ、本文中の位置と出典の対応が返るとされています。

オープンエーアイのウェブ検索の機能でも、既定で本文中に出典が付き、出典のページの住所と題名、本文中の位置が示されると説明されています。さらに、利用者に検索の結果を見せる場合は、出典を見える形で、押して開ける状態にすることが求められています。グーグルも、検索の候補の表示について利用規約で要件を定めています。社外向けに使う場合は、表示の要件まで確かめる必要があります。

つまり、グラウンディングを入れると、答えを見せる画面の設計も変わります。出典を小さく隠してしまうと、仕組みの価値が半分失われます。答えの横に根拠が並び、読んだ人がすぐに開ける画面にしてこそ、確かめやすさが生きます。

結びつける先は3種類ある

グラウンディングで結びつける先は、大きく3種類に分けられます。ウェブの検索結果、社内の文書、データベースや表です。グーグルの企業向けの基盤の説明を見ても、検索、地図の情報、自社で用意した検索の仕組み、自社のデータなど、結びつける先の選択肢が並んでいます。どれを選ぶかで、向く業務も手間も変わります。

結びつける先向く業務根拠の質を決めるもの主な手間と費用
ウェブの検索結果業界の動向、公開情報の要約、最新の出来事の確認検索で上位に出たページの質。自社では選べない設定は軽い。問いや検索の回数ごとに費用がかかる形が多い
社内の文書製品情報の問い合わせ回答、社内規程の案内、提案書の下書き文書の正しさと版の新しさ。自社で管理できる文書の整理・区切り・更新の運用が重い
データベースや表価格・在庫・実績の数字、顧客ごとの契約状況表の値の正しさ。自社で管理できる表の設計と、問いを表の条件に変える仕組みづくり

表から分かるとおり、選ぶときの軸は、根拠の質を自社で管理できるかどうかです。ウェブの検索結果は設定が軽く幅広い問いに答えられる一方、根拠の質は検索の結果次第です。社内の文書やデータベースは根拠を自社で管理できる代わりに、整える手間がかかります。

実際の導入では、一つに決める必要はありません。製品の問い合わせには社内の文書、価格の問いには表、業界の動向にはウェブ検索、というように、問いの種類ごとに結びつける先を分ける形がよく取られます。この場合、どの問いをどの先に回すかの決まりも、人が書いておきます。

ウェブ検索に結びつける形

ウェブ検索に結びつける形では、AIが問いを受けて、検索が答えを良くするかをまず判断し、必要なら検索語を作って検索し、その結果を読んで答えます。グーグルの説明では、一つの問いに対して複数の検索を行うこともあるとされています。利用者が検索の指示を出さなくても、AIが自分で検索するかどうかを決める点が特徴です。

費用のかかり方は提供元とモデルによって違います。グーグルの開発者向けの説明では、新しい世代のモデルではAIが実行した検索語ごとに課金され、一つの問いで複数の検索をすればその分数えられる一方、それより前の世代では問いごとの課金とされています。料金の額や無料の範囲は変わることがあるので、使う前に最新の料金表で確かめます。

導入の手間は、3種類の中で最も軽い形です。多くの場合、機能を有効にする設定だけで使い始められます。対話型のAIの画面で「検索して答える」機能を使うのも、同じ考え方のグラウンディングの一種です。まずは手元の業務で試し、出典の質を見てから、社外向けの仕組みに組み込むかを考えるのが順当です。

  • 料金の額・無料の範囲・対応するモデルは変わるため、使う前に提供元の最新の料金表と説明を確かめる
  • 検索の結果を利用者に見せる場合は、出典や検索の候補の表示の要件を利用規約で確かめる
  • 社外の検索に問いを送る形では、問いの中に顧客名や社内の数字を入れない決まりを作る

ウェブ検索の形が向く業務と弱いところ

ウェブ検索に結びつける形が向くのは、公開された情報を幅広く集めたい業務です。業界の新しい動き、競合の公開情報の整理、法令や制度の改正の概要をつかむ下調べなどです。記事の企画で、ある話題について今どんな情報が出回っているかを見渡すときにも役立ちます。

弱いところは、根拠の質を自社で選べないことです。検索で上位に出たページが、一次情報ではなく、二次情報のまとめであることもあれば、古い記事であることもあります。AIは出典として示したページの質までは保証しません。業界の数字を引くときは、示された出典が調査の発行元そのものか、それを引用した記事かを、人が見分ける必要があります。

もう一つの弱いところは、自社の製品について問われたとき、自社のページより他社の比較記事や口コミを根拠にしてしまうことがある点です。自社の製品の仕様や価格を答えさせる用途には、ウェブ検索ではなく、自社で管理する文書や表に結びつけるほうが適しています。

確かめる手がかりとして使えるのが、AIが実行した検索語です。グーグルの機能では、検索語の一覧が答えと一緒に返るとされています。どんな言葉で検索したかを見れば、問いの受け取り方がずれていないかが分かります。例えば「中小企業の導入率」を聞いたのに、検索語が「導入率」だけになっていれば、規模の条件が落ちた答えだと見当が付きます。

社内の文書に結びつける形

社内の文書に結びつける形は、問いに関係する文書の箇所を社内の文書の中から探し、その箇所をAIに渡して答えさせる仕組みです。検索拡張生成、略してRAGと呼ばれることが多い形です。製品資料、よくある質問の回答集、社内規程、過去の提案書などを根拠にでき、公開されていない自社の情報で答えられるのが最大の利点です。

この形の根拠の質は、文書の質で決まります。古い版の資料と新しい版の資料が同じ場所に置かれていれば、AIは古い版を根拠に答えることがあります。部署ごとに言い方が違う資料が混ざれば、答えも揺れます。そのため導入の手間の大半は、仕組みを作ることより、文書を整え、古い版を外し、更新の担当を決める運用に向かいます。

社内の文書から答える仕組みが、どこで壊れやすいか、文書をどの粒度で区切るか、といった作り込みの論点は、社内資料から答える仕組みを扱った記事で整理しています。本稿では、3種類の中での位置づけとして、根拠を自社で管理できる代わりに運用の手間が重い形、と押さえておけば十分です。

データベースや表に結びつける形

三つ目は、データベースや表に結びつける形です。価格表、在庫、販売の実績、顧客ごとの契約の状況など、数字や決まった項目で管理されている情報を根拠にします。AIは問いを表の条件に置き換えて必要な値を取り出し、その値を使って答えを書きます。

この形が向くのは、数字を正確に答えなければならない業務です。文書に書かれた数字は、文書の版が古ければ古いままですが、表の値は更新されれば最新になります。さらに、合計や割合のような計算が要る問いでは、計算は表を扱う仕組みの側で行い、AIには結果を文章にさせるほうが誤りが減ります。AIに数字を読ませて計算まで任せると、桁や単位を取り違えることがあるからです。

手間がかかるのは、問いを表の条件に置き換える部分です。「先月の関東の新規受注は何件か」という問いに答えるには、先月とはいつからいつか、関東とはどの都県か、新規とは何を指すかを、表の項目と結びつけて決めておく必要があります。言葉と表の項目の対応表を人が作ることが、この形の出来を左右します。対応表は一度で完成させず、答えられなかった問いの言い回しを月ごとに足していくと、社内の呼び方の揺れを少しずつ吸収できます。

費用と手間をどう比べるか

3種類を比べるとき、目に見える費用だけで判断すると選び方を誤ります。ウェブ検索の形は使った分の費用がかかる一方、準備の人手はほとんど要りません。社内の文書や表に結びつける形は、仕組みを作る費用に加え、根拠を正しく保ち続ける人の時間がずっとかかります。

比べるときは、次の三つを見積もります。一つ目は、一か月に何件の問いに答えさせるか。問いの数が多いほど、使った分の費用の差が効いてきます。二つ目は、根拠がどれくらいの頻度で変わるか。製品の仕様や価格が毎月変わるなら、更新の手間が大きくなります。三つ目は、間違えたときの影響の大きさです。社外に出る答えほど、根拠を自社で管理できる形を選ぶ価値が高まります。

社内の下調べに使う程度なら、ウェブ検索の形から試すのが手軽です。顧客に答えを見せる用途や、数字を扱う用途では、社内の文書や表に結びつける形を選び、その分の運用の人手を最初から計画に入れておきます。人手の見積もりを抜かしたまま始めると、半年後に根拠が古くなり、仕組みそのものが信頼されなくなります。

  • 製品の価格や仕様の問いを、設定が手軽だからとウェブ検索の形で答えさせる
  • 社内の文書を全部まとめて根拠にし、古い版や下書きを外さないまま使い始める
  • 表に結びつけたのに、合計や割合の計算をAIの文章の中で行わせる
  • 出典が付いていることを理由に、社外に出す答えの確認を省く

結びつけても残る3つの誤り

グラウンディングを入れても、誤りが無くなるわけではありません。結びつけた後に残る誤りは、大きく三つの型に分けられます。導入の前に、この三つを関係者で共有しておくと、「根拠が付いているから正しいはず」という思い込みを防げます。

  1. 根拠を読み違える:根拠の文書には「最大で三十日」とあるのに、答えでは「三十日」と言い切るなど、条件や例外を落とす
  2. 古い根拠を引く:改定前の価格表や旧版の製品資料を根拠にして、今は正しくない答えを返す
  3. 根拠が無い所を埋める:根拠に書かれていない部分を、AIがそれらしく補って答える。出典は付いていても、その一文は出典に無い

三つ目は特に見落とされやすい型です。答えに出典が付いていると、答えのすべての文がその出典に基づいているように見えてしまうからです。実際には、出典の内容に、AIが補った一文が混ざっていることがあります。本文のどの部分がどの根拠に基づくかを示す情報が返る仕組みであれば、その対応の無い文を目立たせる表示にすると、人が確かめやすくなります。

これらの誤りは、グラウンディングの仕組みを細かく調整しても、ゼロにはなりません。だからこそ、人が確認する範囲を先に決め、根拠と答えを突き合わせる作業を人の側に残すことが前提になります。出典そのものが実在するか、書かれた内容と合っているかの裏取りの手順は、AIの出典の確認を扱った記事で詳しく整理しています。

導入するときに決める4つのこと

グラウンディングを業務に入れるときは、仕組みを選ぶ前に、次の4つを決めておきます。この4つが決まっていないと、どの形を選んでも運用が回りません。

STEP1
どこを根拠にするかを決める

問いの種類ごとに、ウェブ検索・社内の文書・表のどれを根拠にするかを書き出します。社内の文書なら、根拠にしてよい文書の一覧を作り、一覧に無い文書は読ませません。

STEP2
根拠の更新は誰がやるかを決める

文書や表ごとに更新の担当者と、更新したら仕組みに反映するまでの期限を決めます。古い版を外す作業も担当に含めます。

STEP3
根拠を答えに必ず出させる

答えには必ず出典を添えさせ、利用者から見える形で表示します。出典の無い答えは、仕組みの側で表示しない設定にします。

STEP4
根拠がないときは答えさせない

根拠が見つからなかった問いには、「資料に記載がないため、担当者から回答します」と返し、人に回す流れを作ります。

4つのうち、最も後回しにされやすいのは二つ目の更新の担当です。仕組みを作った部署が根拠の中身まで責任を持つのは無理があります。根拠の中身を作っている部署が、根拠の更新も持つと決めておくと、製品が変わったときに根拠も変わる流れができます。

根拠がないときは答えさせない設計にする

4つ目の「根拠がないときは答えさせない」は、指示文に一行書くだけでは足りません。AIに「資料に無いことは答えないで」と指示しても、それらしく補って答えてしまうことがあります。指示だけに頼らないことが大切です。仕組みの側で、根拠が一件も見つからなかった問いは、AIに渡す前に定型の返事に切り替えるように組むほうが確実です。

答えさせない範囲は、根拠の有無だけで決めません。根拠があっても、価格の個別の見積もり、契約条件の解釈、他社製品との優劣のように、会社として答え方を決めている問いは、人に回す対象として一覧にしておきます。根拠がある問いでも、答えることで約束と受け取られる内容は、グラウンディングの仕組みの外で扱います。

答えさせなかった問いは、記録して月に一度見直します。同じ問いが何度も人に回っているなら、根拠の文書が足りない印です。答えられなかった問いの一覧は、次に整える文書の優先順位表として使えます。

マーケ業務の例1 製品情報の問い合わせに答える

製品情報の問い合わせに、AIで一次回答をする場面を考えます。ここでは、根拠を社内の文書に結びつける形が適しています。根拠にするのは、公開済みの製品資料、仕様書、よくある質問の回答集です。営業の内部資料や開発中の情報は、根拠の一覧に入れません。公開前の情報が答えに混ざると、そのまま社外に出てしまいます。

価格や在庫の問いには、文書ではなく表に結びつけるか、人に回します。文書に書かれた価格は改定のたびに古くなりますが、価格表を根拠にすれば最新の値で答えられます。ただし、値引きや個別の見積もりは表にあっても答えさせず、営業の担当者に回す一覧に入れておきます。

答えには、根拠にした資料の名前と版、該当する箇所へのつながりを添えます。問い合わせた人が自分で資料を開いて確かめられるうえ、社内でも誤答が出たときに、どの資料のどの箇所を直せばよいかがすぐに分かります。回答の記録は、AIの答え、根拠、担当者が確認したかどうかの三つを残します。

マーケ業務の例2 記事の事実確認と営業資料の数字

オウンドメディアの記事を書くとき、ウェブ検索に結びつけたAIで、記事の中の事実を確かめる下調べをする使い方があります。記事の中の数字や固有名詞を一つずつ問いにして、根拠となるページを探させます。このときAIが示すのは、あくまで確かめに行く先の候補です。出典のページを人が開き、数字が本当にそこに書かれているか、発行元と年がどうなっているかを目で確かめます。

営業資料の数字では、表に結びつける形が向きます。導入社数、継続率、顧客の業種の内訳といった数字は、資料を作るたびに担当者の手元の古い値が使われがちです。管理された表を根拠にしてAIに資料の数字を書かせれば、数字の出どころが一か所にそろうので、資料ごとに数字が食い違う事故を減らせます。

どちらの例でも、AIが示した根拠が正しいかどうかは人が判断します。記事では、根拠のページが一次情報かどうかを人が見分けます。営業資料では、表の値そのものが正しく集計されているかを、表を管理する部署が保証します。AIは根拠を探し、根拠に沿って文章を書く役で、根拠の正しさを決める役ではありません。

記事の事実確認では、AIが示した出典をそのまま記事の参考文献に載せないことも決めておきます。人が原典を開いて確かめた出典だけを載せることにし、確かめた日と確かめた人を記事の管理表に残します。こうしておくと、後で数字が改定されたとき、どの記事を直せばよいかをたどれます。

AIの使いどころと、人が持つ範囲

ここまでの内容を、AIに任せる範囲と人が持つ範囲に分けて整理します。グラウンディングを入れたAIの使いどころは、根拠を探すこと、根拠に沿って答えを書くこと、どの根拠を使ったかを示すことの三つです。

  • どこを根拠にするか、根拠にしてよい文書の一覧は人が決める
  • 根拠の文書や表の中身の正しさと更新は、中身を作る部署が持つ
  • 答えには必ず根拠を出させ、根拠の無い答えは表示しない
  • 根拠が見つからない問いと、答え方を会社で決めている問いは人に回す
  • 社外に出る答えは、公開前か定期の抜き取りで人が根拠と突き合わせる

反対に、AIに任せないのは、根拠の中身が正しいかどうかの判断、答えてよい問いかどうかの判断、根拠と答えが食い違ったときにどちらを正とするかの判断です。AIに判断させず、根拠を書かせ、人が確認する範囲を先に決める。この三つがそろって、グラウンディングは業務の中で役に立つ仕組みになります。

なお、AIの判断の理由を説明できるようにする考え方は、グラウンディングとは別の話題です。グラウンディングが示すのは答えの元になった情報の場所であり、AIがなぜその答えを選んだかの説明ではありません。この違いを押さえておくと、社内で説明するときに期待がずれません。

よくある質問

グラウンディングを入れれば、作り話は無くなりますか?

無くなりません。根拠の読み違い、古い根拠、根拠の無い所の補いは残ります。グラウンディングの役割は、答えの元をたどれる状態にして、人が確かめやすくすることです。社外に出る答えは、人が根拠と突き合わせる範囲を先に決めておきます。

グラウンディングと、社内の文書から答える仕組みは同じものですか?

社内の文書から答える仕組みは、グラウンディングの形の一つです。グラウンディングはより広い言葉で、ウェブの検索結果やデータベースに結びつける形も含みます。どの形も、答えを確かめられる根拠に結びつけるという点で共通しています。

対話型のAIの画面で検索して答える機能も、グラウンディングですか?

考え方は同じです。AIが検索した結果を読んで答え、出典を示す点で、ウェブ検索に結びつける形に当たります。ただし業務に組み込む場合は、根拠にしてよい先を選べない、表示の要件がある、といった点を踏まえて、社外向けに使えるかを確かめます。

まず何から始めればよいですか?

社内で繰り返し聞かれる問いを二十ほど書き出し、それぞれの答えの根拠がどの文書や表にあるかを一覧にするところから始めます。根拠が見つからない問いが多ければ、仕組みを選ぶ前に文書を整える必要があると分かります。根拠がそろっている問いから、社内向けの用途で小さく試し、答えと根拠の食い違いを記録してから社外へ広げるのが確実です。

まとめ

グラウンディングとは、生成AIの答えを、ウェブの検索結果・社内の文書・データベースや表といった確かめられる根拠に結びつけ、どこを使ったかを答えと一緒に示す仕組みです。ウェブ検索の形は設定が軽く幅広い問いに向く一方、根拠の質を自社で選べません。社内の文書の形は自社の情報で答えられる代わりに文書を整える手間が重く、表の形は数字の正確さに強い代わりに言葉と表の項目の対応づけが要ります。どの形でも、根拠の読み違い、古い根拠、根拠の無い所の補いという誤りは残ります。導入するときは、どこを根拠にするか、根拠の更新を誰がやるか、根拠を必ず答えに出させること、根拠がないときは答えさせないことの4つを先に決めます。AIに任せるのは根拠を探し、根拠に沿って書き、根拠を示すところまでで、根拠の中身の正しさは人が持ちます。まずは社内でよく聞かれる問いを二十書き出し、それぞれの根拠の置き場所を一覧にしてみてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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