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返品された商品の状態を写真で見分けて、再販・補修・廃棄に仕分ける

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

返品された商品と付属品の写真を入力に、社内の判定基準に当てはめて再販・補修・廃棄の候補を示します。検品担当の作業は、状態を一から見て判断することから、示された候補と根拠を確かめることに変わります。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Google Apps Script/Make/Microsoft Copilot/n8n/Power Automate/Python
対象業界
EC/小売/物流/製造
対象部門
カスタマーサポート/物流
対象業務
内容確認・チェック/分類・仕分け
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/属人化している
AIで行う処理
画像認識
主な効果
品質標準化/工数削減/教育コスト削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
必須
現在工数
133.3h/月
AI導入後
40h/月
想定削減
70%
年間削減
1,120h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 返品された荷物が倉庫に届く
  2. 返品伝票と受注データを突き合わせる
  3. 開梱して、商品と付属品を取り出す
  4. 付属品がそろっているかを確認する
  5. 外箱の状態を見る
  6. 商品本体の状態を見る(キズ、汚れ、使用感)
  7. 再販・補修・廃棄のどれかを判断する
  8. 判定をWMSに入力する
  9. 再販なら、再梱包して在庫に戻す
  10. 廃棄なら、廃棄の記録を残す
導入後(After)
  1. 返品された荷物が倉庫に届く
  2. 返品伝票のバーコードを読み、受注データを引き当てる
  3. 開梱し、決められた構図で写真を撮る(全体・正面・付属品・気になる箇所)
  4. 自動写真から、商品の状態を社内の基準の言葉に当てはめる
  5. 自動付属品の点数を数え、正規の同梱物リストと突き合わせる
  6. 自動外箱の状態を判定する
  7. 自動再販・補修・廃棄の候補と、その根拠を示す
  8. 自動判断が分かれやすい状態のものに印を付ける
  9. 検品担当が、候補と根拠を確かめる
  10. 印が付いたものと、廃棄候補は必ず現物を見る
  11. 判定を確定する
  12. 自動判定と写真をWMSに登録する
  13. 自動商品別・担当者別の判定の偏りを月次で集計する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 返品された荷物が倉庫に届く
  2. 返品伝票と受注データを突き合わせる
  3. 開梱して、商品と付属品を取り出す
  4. 付属品がそろっているかを確認する
  5. 外箱の状態を見る
  6. 商品本体の状態を見る(キズ、汚れ、使用感)
  7. 再販・補修・廃棄のどれかを判断する
  8. 判定をWMSに入力する
  9. 再販なら、再梱包して在庫に戻す
  10. 廃棄なら、廃棄の記録を残す

問題は5つあります。

(a)判断の基準が言葉になっていない。 Excelに「軽微なキズは再販可」と書いてありますが、「軽微」の定義がありません。

(b)人によって判断が違う。 同じ商品でも、担当者によって再販になったり廃棄になったりします。数字で追えていません。

(c)新人が独り立ちするまで時間がかかる。 ベテランの横について覚えるしかなく、数か月かかります。

(d)判断の記録が写真として残らない。 WMSには「廃棄」としか残りません。後から「なぜ廃棄にしたのか」が分かりません。

(e)繁忙期に判断が粗くなる。 返品が集中すると、確認が速くなり、迷ったものはまとめて廃棄になります。

  1. 返品された荷物が倉庫に届く
  2. 返品伝票のバーコードを読み、受注データを引き当てる
  3. 開梱し、決められた構図で写真を撮る(全体・正面・付属品・気になる箇所)
  4. 【自動】 写真から、商品の状態を社内の基準の言葉に当てはめる
  5. 【自動】 付属品の点数を数え、正規の同梱物リストと突き合わせる
  6. 【自動】 外箱の状態を判定する
  7. 【自動】 再販・補修・廃棄の候補と、その根拠を示す
  8. 【自動】 判断が分かれやすい状態のものに印を付ける
  9. 【人】 検品担当が、候補と根拠を確かめる
  10. 【人】 印が付いたものと、廃棄候補は必ず現物を見る
  11. 【人】 判定を確定する
  12. 【自動】 判定と写真をWMSに登録する
  13. 【自動】 商品別・担当者別の判定の偏りを月次で集計する

自動化されるのは「状態の言語化」「付属品の照合」「候補の提示」「記録」の4つです。残るのは「判断を確定すること」です。

13番目が、長い目で見ると効きます。 「この商品は廃棄率が高い」「この担当者だけ判定が偏っている」が数字で見えます。現在はまったく見えていません。

02今回想定するシステム構成

構成図
返品の到着 → 開梱 → 決められた構図で撮影(タブレット)
   │
   ▼
SharePoint の写真フォルダ ──【ファイル作成をトリガー】
   │
   ▼
Power Automate(受注データの引き当て)
   │
   ▼
Claude API(写真 + 判定基準 + 正規の同梱物リスト)
   │
   ├──▶ 状態の記述(基準の言葉に当てはめる)
   ├──▶ 付属品の照合結果
   ├──▶ 再販・補修・廃棄の候補と根拠
   └──▶ 判断が分かれやすいものへの印
   │
   ▼
判定画面 ──【検品担当が確認・確定】
   │
   ▼
WMS へ登録(判定・写真・根拠)
   │
   ▼
月次の集計(商品別・担当者別の判定の偏り)
役割想定する製品代替候補
生成AIClaude API(画像入力)ChatGPT、Gemini、Microsoft Copilot
ワークフローPower AutomateMake、n8n、Google Apps Script
処理Python(写真のリサイズ・付属品の計数の補助)Google Apps Script
保管SharePoint ドキュメントライブラリGoogle ドライブ、Amazon S3
在庫WMS(倉庫管理システム)基幹システム

最小構成では、連携は要りません。 タブレットで撮った写真を判定基準と一緒に生成AIに貼るところから始められます。ここが★2の理由です。

返品処理に特化したSaaSと比べてください。 返品受付から検品、返金までを一貫して提供する製品があります。自前で組む価値があるのは、状態の判定という自社固有の基準を扱う部分です。 返品の受付と返金の処理は、既存のシステムで足りていることが多いはずです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

写真が指定のフォルダに置かれたときが起点です。

Power Automate の SharePoint コネクタには「ファイルが作成されたとき」というトリガーがあります。タブレットの撮影アプリから指定フォルダへ保存する運用にすれば、保存した時点で処理が始まります。

1件の返品につき、写真は4枚を基本にしてください。

構図写す対象
1枚目外箱の全体
2枚目商品本体の正面
3枚目付属品をすべて並べたもの
4枚目気になる箇所の接写(なければ本体の背面)

構図を決めることが、この構成の精度を決めます。 撮り方がばらばらだと、同じ状態でも判定が変わります。

ファイル名に返品番号と枚数の通番を入れてください。 「R202609180123_1.jpg」のような形にすれば、4枚がそろった時点で処理を始められます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
返品品の写真4枚(外箱・本体正面・付属品・接写)タブレット → SharePoint
判定基準状態の区分と、それぞれの見え方の説明品質管理(新しく作る
正規の同梱物リストSKUごとの付属品と点数商品マスタ
受注データ注文番号、SKU、出荷日、返品理由受注管理システム
商品の基準画像新品状態の商品写真商品マスタ
過去の判定履歴同一SKUの過去の判定と写真WMS

「判定基準」がこの構成の中核です。

言葉だけでなく、写真の例を添えてください。

区分言葉での説明写真の例
A(再販可)未開封または開封のみ。本体に傷なし。付属品すべてあり3枚
B(再販可・値引)外箱に潰れや破れ。本体は無傷。付属品すべてあり3枚
C(補修)本体に浅いキズまたは汚れ。清掃・部品交換で戻る3枚
D(廃棄)本体の破損、変形、におい、使用の痕3枚
E(要確認)上のどれにも当てはまらない

「E(要確認)」を必ず作ってください。 これがないと、AIは無理にA〜Dのどれかに当てはめます。

「正規の同梱物リスト」をSKUごとに用意してください。 「取扱説明書1、六角レンチ1、予備ネジ4本」のように、点数まで書きます。 これがないと、付属品の過不足を判定できません。

Step3

データの取得方法を決める

写真: タブレットの撮影アプリからSharePointへ保存します。専用の撮影ブースは必要ありませんが、照明と背景は固定してください。 同じ場所で同じ明るさで撮ることが、判定の安定に効きます。

画像のサイズ: Claude の画像入力は、直接APIを使う場合で1画像あたり10MBが上限です。リクエスト全体では32MBの上限があります。タブレットの写真はそのままだと大きいため、送る前に縮小してください。

枚数の上限にも注意してください。 1リクエストあたりの画像は最大600枚(200kトークンのコンテキストウィンドウを持つモデルでは100枚)ですが、20枚を超えると1枚あたりの寸法制限が厳しくなります。 安全に収めるには、各画像のどちらの辺も2000pxを超えないようリサイズするか、画像とドキュメントのブロックを20個以下に抑えます。 この構成は1件あたり4〜5枚なので、リサイズだけ守れば問題ありません。

対応形式はJPEG・PNG・GIF・WebPです。 タブレットの標準はJPEGなので、そのまま使えます。

画質の落としすぎに注意してください。 JPEGの圧縮を強めるとリクエストは軽くなりますが、キズや汚れが圧縮のノイズと見分けられなくなります。 圧縮の設定を決めたら、実際に送っている画像を目で見て確かめてください。

受注データ: 返品伝票のバーコードから注文番号を読み、受注管理システムから引き当てます。返品理由(「イメージと違った」「初期不良」など)は、判定の重要な手がかりです。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 写真の縮小 … 各辺が2000pxを超えないようにリサイズします
  2. 枚数の確認 … 4枚そろっているかを確認します。足りなければ処理を始めません
  3. SKUの引き当て … 受注データからSKUと同梱物リストを取得します
  4. 基準画像の取得 … 同一SKUの新品状態の写真を添えます
  5. 返品理由の付与 … 受注データから返品理由を渡します
  6. 過去の判定履歴の照合 … 同一SKUの過去の判定を添えます

4番目が精度に直結します。 新品の状態が分からなければ、「もともとそういう形なのか」「変形しているのか」を見分けられません。 基準画像を必ず添えてください。

Step5

AIに処理させる

処理内容
状態の記述写真に見える状態を、判定基準の言葉に当てはめる
付属品の照合写っている付属品を数え、同梱物リストと突き合わせる
外箱の判定外箱の潰れ・破れ・汚れを区分に当てはめる
候補の提示A〜Eのどれに当たるかの候補と、その根拠を示す
境目の明示判断が分かれやすい状態に印を付ける

AIに次のことをさせないでください。

させないこと理由
判定の確定人が確定する。誤れば状態の悪い商品が次のお客様に届く
廃棄の自動実行廃棄は取り返しがつかない
写真に写っていない状態の推測におい、べたつき、動作は写真では分からない
付属品の点数の断定物体の計数は概数にとどまる。過不足は人が数える
使用されたかどうかの断定「使用感がある」と見えることと、使用されたことは別
お客様の返品理由の真偽の判定この構成の役割ではない

「付属品の点数を断定させない」ことに注意してください。 Claude のドキュメントには、画像内の物体の計数は概数にとどまり、特に小さな物体が多数ある場合には正確でないことがあると明記されています。予備ネジ4本のような数え物は、人が数えてください。 AIには「写っている付属品の種類」までを扱わせ、点数の過不足は「要確認」として人に回す設計にしてください。

「におい・べたつき・動作」は写真では分かりません。 この構成の限界です。これらが判定に効く商材では、写真だけで完結させないでください。

Step6

指示内容を固定する

あなたは、返品された商品の状態を確認する検品担当者です。
写真に見える状態を、社内の判定基準の言葉に当てはめてください。

【厳守事項】
- 判定を確定しないでください。
  「廃棄してください」「再販可能です」と書かないでください。
  候補と根拠を示すだけにしてください。
- 写真に写っていない状態を推測しないでください。
  におい、べたつき、動作、内部の破損は判断できません。
  これらが疑われる場合は needs_physical_check に入れてください。
- 付属品の点数を断定しないでください。
  写っている付属品の種類を accessories_seen に列挙し、
  点数は approximate_count に入れてください。
  同梱物リストとの過不足は count_check_required を true にし、
  人が数えるべき対象としてください。
- 「使用された」と断定しないでください。
  「使用感があるように見える」という記述にとどめ、
  どの箇所からそう見えるかを quoted_region に書いてください。
- 判定基準のA〜Dのどれにも当てはめにくい場合は、
  E(要確認)にしてください。
  無理にA〜Dのどれかに寄せないでください。
- 区分の境目にある状態(BとCの中間など)は、
  borderline を true にし、両方の区分を候補として挙げてください。
- 状態の記述には、どの写真のどの箇所を見たかを必ず書いてください。

【判定基準】
{grading_criteria}

【このSKUの正規の同梱物リスト】
{expected_accessories}

【返品理由(お客様の申告)】
{return_reason}

【新品状態の基準画像】
画像1: 新品の商品

【返品された商品の写真】
画像2: 外箱の全体
画像3: 商品本体の正面
画像4: 付属品をすべて並べたもの
画像5: 気になる箇所の接写

「判定を確定しない」の1行が、この構成の安全装置です。 「再販可能です」と書かれた記録があれば、忙しいときには、人はそれを読まずに確定します。

「無理にA〜Dのどれかに寄せない」も必ず入れてください。 E(要確認)が一定の割合で出ることが、正常な状態です。 Eがゼロなら、判定基準かプロンプトのどちらかを疑ってください。

Step7

出力形式を固定する

{
  "return_id": "",
  "sku": "",
  "return_reason": "",
  "outer_box": {
    "condition": "",
    "observed": "",
    "photo_ref": ""
  },
  "product_body": {
    "condition": "",
    "observed": "",
    "quoted_region": "",
    "photo_ref": ""
  },
  "accessories_seen": [],
  "approximate_count": 0,
  "count_check_required": true,
  "missing_candidates": [],
  "suggested_grade": "A | B | C | D | E",
  "alternative_grade": "",
  "borderline": false,
  "reasons": [],
  "needs_physical_check": [],
  "confidence": "high | medium | low"
}

borderlinealternative_grade を持つのが、この構成の中心です。 判定が分かれやすいのは、BとCの境目、CとDの境目です。ここに印が付いていれば、人はそこだけを丁寧に見られます。

count_check_required は既定で true にしてください。 付属品の点数は人が数える、というのが基本です。同梱物が1点だけのSKUに限って false にする運用が現実的です。

needs_physical_check には、写真では判断できないものを入れます。 「におい」「べたつき」「動作確認」「内部の破損」です。ここが埋まったものは、必ず現物を見ます。

suggested_grade は候補であって判定ではありません。 画面の表示でも、確定した判定と区別できる見せ方にしてください。 同じ欄に同じ形で出すと、確認が形だけになります。

Step8

システムへ連携する

最小構成では連携はありません。撮った写真を判定基準と一緒に生成AIに貼って作業します。

半自動化では、次をつなぎます。

つなぐ先内容
SharePoint写真の受け取りと保存
受注管理システム(読み取り)注文番号、SKU、返品理由
商品マスタ(読み取り)同梱物リスト、新品の基準画像
WMS(書き込み)確定した判定、写真、根拠
Teamsneeds_physical_check が付いたものの通知

在庫への自動戻しを行わないでください。 判定が確定してから、人が再梱包して戻します。「再販可」の判定だけでシステム上の在庫を増やすと、現物と帳簿がずれます。

廃棄の自動実行も行わないでください。 廃棄は取り返しがつきません。廃棄候補は必ず現物を見てから確定します。

写真のWMSへの登録は自動化してよい部分です。 後から「なぜこの判定にしたか」を見るために、判定と写真は必ず紐づけて残してください。

Step9

人が確認する

判定の確定は、必ず検品担当が行います。 ただし、全件を同じ深さで見る必要はありません。

確認する点どう扱うか
1suggested_grade: D(廃棄候補)全件、現物を見る
2borderline: true(区分の境目)全件、現物を見る
3suggested_grade: E(要確認)全件、現物を見る
4needs_physical_check が埋まっているもの全件、現物を見る
5count_check_required: true付属品を人が数える
6suggested_grade: Aconfidence: high候補を見て確定する(抜き取りで現物確認)

1〜4は全件、5は数えるだけ、6は候補の確認だけ、という配分です。 これが「条件付き」の中身です。全件を同じように見ると、時間は減りません。

6の抜き取り確認を必ず続けてください。 割合は10%程度から始め、ずれの実測値を見て決めます。 抜き取りをやめると、精度が落ちたことに気づけなくなります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
写真が4枚そろっていない処理を始めない。撮り直す
写真が暗い・ぶれているconfidence: low になる。撮り直す
付属品の点数が合わないcount_check_required人が数える
小さい付属品が多数ある計数は概数。人が数える
におい・べたつきが疑われるneeds_physical_check現物を見る
動作確認が必要な商品写真では判断できない。別の手順にする
新品の基準画像がない判定の精度が落ちる。基準画像の整備を先に行う
同梱物リストがないSKU付属品の照合ができない。E(要確認)にする
注文番号が読み取れない受注データを引けない。人が手で紐づける
返品理由が「初期不良」再販候補にしない。 品質管理へ回す
判定基準にない新しい状態E(要確認)。基準の見直しの材料にする
繁忙期で写真の質が落ちるconfidence: low が増える。撮影の手順を守る
開封済みで再販不可の商材この構成の対象外。SKU単位で除外する
Step11

記録を残す

  • 返品品の写真4枚(判定と紐づけて保存する
  • AIが示した候補と根拠
  • 検品担当が確定した判定と、候補と違った場合はその理由
  • needs_physical_check の内容と、現物確認の結果
  • 付属品の実際の点数
  • 抜き取り確認の結果
  • 判定基準の変更履歴
  • 商品別・担当者別の判定の分布

「候補と違った場合の理由」が、この構成を育てる材料です。 どの区分で人の判断とずれているかが分かれば、判定基準の言葉を直すべきか、写真の撮り方を直すべきかが判断できます。

写真の保存期間を定めてください。 返品品の写真は容量が大きく、月2,000件では年間24,000件分になります。判定の根拠として必要な期間(返金の時効、品質のクレーム対応の期間)を踏まえて決めてください。

商品別の判定の分布は、月次で見てください。 「このSKUだけ廃棄率が30%」という数字は、商品そのものの梱包や仕様の問題を示していることがあります。 返品検品の改善ではなく、商品の改善につながる情報です。

04実装レベルの3段階

最小構成:写真と判定基準を生成AIに貼り、候補を出させる / 状態の記述・候補の提示
半自動化:写真の保存をトリガーに、受注データの引き当てから候補の提示・WMSへの登録までを自動化する / 上記+引き当て・記録
本格構成:上記+判定の分布の集計+抜き取り確認の管理+基準の見直しの提案 / 判定の確定以外

半自動化で効果の大半が出ます。 4分が1.5分程度になります。本格構成で1.2分ですが、本格構成の価値は時間より「判定の偏りが数字で見えること」にあります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
2,000 件
1件あたり現在時間
4 分
1件あたり導入後時間
1.2 分
現在  2,000件 × 4分 ÷ 60 = 133.3 時間/月
導入後 2,000件 × 1.2分 ÷ 60 = 40 時間/月
月間削減時間
93.3h
削減率
70%
年間削減時間
1,120h
年間金額換算(時間単価2,500円)
280万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 返品が月500件以上あり、返品検品を人手で行っている通販・小売事業者。再販・補修・廃棄の判断基準が社内で決まっていること(または決められること)。倉庫で商品の写真を撮れる環境があること。
向いていない
  1. 返品が月数十件で、検品担当が1名で回せている場合。食品・医薬品など、開封時点で再販不可と決まっている商材。状態の判断に手触りや動作確認が必須で、写真では判断できない商材。

07最小構成で試す方法

  1. 判定基準を、写真の例つきで作る(A〜Eの5区分、各3枚)
  2. 直近の返品から50件を選び、決められた構図で撮り直す
  3. 判定基準と写真を生成AIに貼り、候補を出させる
  4. ベテランの検品担当が実際に判定した結果と比べる

見るのは次の4点です。

見る点判断
ベテランの判定と一致する割合区分ごとに見る。AとDは一致しやすく、B・Cは割れる
「廃棄してください」と書いていないか書いていたら、プロンプトを強める。最重要
E(要確認)が出ているかゼロなら、無理に当てはめている
付属品の点数を断定していないか断定していたら、プロンプトを強める

1のステップ(判定基準)が、この試行でもっとも時間がかかります。 そして、この構成をやめても残る資産です。 新人教育にそのまま使えます。

あわせて、次の2つの数字を出してください。

  1. 同じ商品を2人の担当者が判定したときの一致率
  2. 現在の再販率・補修率・廃棄率

5の数字が、この構成を入れる理由です。 人どうしでも一致しないなら、AIとの一致率だけを見ても意味がありません。 まず人の間のばらつきを測ってください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが「廃棄してください」と判定を書くプロンプトで禁止する。候補と根拠にとどめる。最重要
付属品の点数を断定する禁止する。計数は概数。人が数える
撮影の構図がばらつく構図を4枚で固定する。照明と背景も固定する
写真が暗い・ぶれている撮り直す。confidence: low を無視しない
新品の基準画像がない先に整備する。ないと変形を見分けられない
E(要確認)がゼロになる無理に当てはめている。プロンプトを見直す
圧縮しすぎてキズが見えない実際に送っている画像を目で見て確かめる
画像が10MBを超える縮小してから送る
全件を同じ深さで確認する確認の配分を決める。時間が減らない
在庫へ自動で戻す戻さない。現物と帳簿がずれる
廃棄を自動実行するしない。取り返しがつかない
判定と写真を紐づけずに保存する紐づける。後から根拠が分からなくなる
抜き取り確認をやめる続ける。精度の低下に気づけなくなる

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 返品品の写真、SKU、返品理由、注文番号。返品伝票にはお客様の氏名・住所が記載されています。

  1. 写真に個人情報を写さない … 返品伝票、納品書、お客様が同梱した手紙が写り込むことがあります。撮影の手順で「伝票類は外してから撮る」と決めてください
  2. 個人情報の外部送信 … 注文番号や返品理由を渡します。個人情報保護委員会は、個人データを含むプロンプトの入力について、応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合に個人情報保護法違反となる可能性があると注意喚起しています。 氏名・住所は渡さない設計にしてください
  3. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます。返品品の写真は自社商品の情報そのものです
  4. 未発売商品の写真 … 返品の中に試作品や未発売品が混ざることがあります。取り扱いを決めてください
  5. 判定の記録の扱い … 「再販可」と判定して出荷した商品に問題があった場合、判定の記録が根拠として参照されます。 誰が確定したかを必ず残してください
  6. 廃棄の不可逆性 … 廃棄は取り返しがつきません。自動実行しないことを設計の原則としてください
  7. 担当者別の集計の使い方 … 判定の偏りを担当者別に集計しますが、人事評価に使わないことを明示してください。 評価に使われると、迷ったものが安全側(廃棄)に寄ります
  8. 写真の保存期間 … 容量が大きく、無期限に残す理由はありません。必要な期間を定めてください
  9. 自動実行してよい範囲 … 状態の記述、候補の提示、記録までです。判定の確定、在庫への戻し、廃棄の実行は、必ず人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、状態の悪い商品が次のお客様に届くことです。返品の理由が「イメージと違った」であっても、次のお客様にとっては新品として届きます。 廃棄候補と境目のものを全件現物確認する運用を、省略できない手順として組み込んでください。

10まず何から始めるか

1週目:現在のばらつきを測る

同じ返品品50件を、2人の担当者に別々に判定してもらってください。 一致率がそのまま、現在のばらつきです。この数字がないと、導入後の比較ができません。

あわせて、現在の再販率・補修率・廃棄率を出してください。

2〜3週目:判定基準を写真の例つきで作る

A〜Eの5区分について、それぞれ3枚の写真の例を選びます。ベテランの担当者と一緒に、実際の返品品から選んでください。

「E(要確認)」の区分を必ず作ってください。

この作業自体が、新人教育の教材になります。 現在は口頭で教えているものが、形になります。

4週目:撮影の手順を決めて、50件で試す

構図4枚、照明と背景を固定します。判定基準と写真を生成AIに貼り、候補を出させます。「廃棄してください」と書いていないか、E(要確認)が出ているか、付属品の点数を断定していないかを確かめてください。

2か月目:写真の保存から候補の提示までをつなぐ

SharePointへの保存をトリガーに、受注データの引き当てと候補の提示を自動化します。あわせて、確認の配分(廃棄候補・境目・要確認は全件、それ以外は抜き取り)を決めてください。

3か月目以降: 判定の分布の集計を追加します。4分が何分になるかを実測し、あわせて再販率の変化と、担当者間の一致率の変化を追ってください。 時間より、再販率のほうが金額に直結します。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-18/最終更新:2026-09-18
確認した内容情報源確認日
Claude の画像入力が1リクエストあたり最大600枚(200kトークンのコンテキストウィンドウを持つモデルでは100枚)で、リクエスト全体のサイズ上限が32MBであること。1画像あたりの上限が直接APIで10MBであること。画像が20枚を超えると1枚あたりの寸法制限が厳しくなり、各辺2000px以下へのリサイズまたは20ブロック以下への抑制が必要なこと。対応形式がJPEG・PNG・GIF・WebPであること。視覚トークンが ⌈幅/28⌉ × ⌈高さ/28⌉ で計算されること。物体の計数は概数にとどまり、小さな物体が多数ある場合は特に正確でないことがあること。強い圧縮が性能に悪影響を与えうるため、実際に送っている画像を確認すべきであることClaude Docs: Vision2026-09-18
Power Automate の SharePoint コネクタに「ファイルが作成されたとき」のトリガーが用意されていることMicrosoft Learn:SharePoint コネクタのアクションとトリガー2026-09-18
個人情報取扱事業者が個人データを含むプロンプトを入力し、当該個人データが応答結果の出力以外の目的で取り扱われる場合、個人情報保護法の規定に違反する可能性があること個人情報保護委員会:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について2026-09-18

返品された商品を再販する際の表示については、商材と販売チャネルによって求められる事項が異なります。 開封済み・返品品であることの表示、中古品としての扱い、特定商取引法や景品表示法上の留意点について、法務部門に確認してください。 食品・医薬品・化粧品など、法令や業界の基準で再販が制限される商材があります。対象SKUの選定は、品質管理部門と法務部門が行ってください。 また、写真による判定は、におい・べたつき・動作・内部の破損を捉えられません。これらが安全性に関わる商材では、この構成だけで判定を完結させないでください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。再販率の改善幅は、自社の実測値から算出してください。

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