回帰分析で施策の効き方を測る5工程|相関で止めない読み方

「広告とセミナーと展示会を同じ月に動かしたので、どれが効いたのか説明できません」「一つずつ相関を見たら全部が売上と一緒に動いていて、結局どれも効いたことになりました」——数字を持っているのに来期の配分が決められないとき、届く声はこの2つに集まります。データが足りないように見えますが、そうではありません。本当は同時に動いた複数の要因を、1つずつの寄与に分けて読む道具を使っていないことから起きています。回帰分析は、先を読む道具ではなく、過去に起きた結果を要因ごとの寄与に割り戻す道具です。この記事では、測る前に決めておく5つの工程と、決めずに回した場合に数字がどう暴れるかを整理します。
カメ先生回帰分析って、売上を予測する道具だと思われがちなんだけれど、実務でいちばん効くのは過去の説明のほうなんだ。
カメ子予測ではなく、説明のために使うんですか。
カメ先生そう。同じ月に3つの施策を動かしたときに、どれがどれだけ寄与したかを数字で割り戻せる。予測に使うと外れた理由が分からないけれど、説明に使えば次の配分の根拠になるんだよ。
カメ子先を当てるためではなく、配分を決めるための道具なんですね。
- 回帰分析は先を読む道具ではなく、同時に動いた要因の寄与を割り戻す道具
- 数字が暴れる原因は5つ。項目の選び方、当てはまりの読み方、項目どうしの重なり、時間差、件数
- 生成AIには計算と下書きまでを任せ、人がどの数字を検算するかを先に決める
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場面:3つの施策を同じ月に動かして、どれが効いたか説明できなかった
よく聞く形を1つの例にまとめます。あるBtoB企業が、4月に検索広告の予算を1.5倍にし、同じ月にセミナーを2本開き、展示会にも出ました。翌月の問い合わせは前月の1.6倍になりました。数字は良く、社内の評価も上がりました。問題は次の会議で起きました。来期はどれに厚く配るのか、という問いに誰も答えられなかったのです。
担当者は手元の表で、施策ごとの費用と問い合わせ件数の相関を見ました。3つとも強い相関が出ました。当然です。3つを同じ月に増やしたのだから、3つとも問い合わせと一緒に動いています。ここで止まると、結論は「3つとも効いた」になります。会議で使えるのは、この結論の1歩先です。どれがどれだけ寄与したのか、という配分の話です。
相関と因果の取り違えや、比較の試験の組み方は、それだけで別の話題になります。この記事は前提として1行だけ置いて先へ進みます。相関は2つの数字が一緒に動いたことしか言えず、3つ以上を同時に動かした月には使えません。必要なのは、同時に動いた要因を1つずつの寄与に分ける道具です。それが回帰分析です。
回帰分析とは、何を何で説明する道具か
回帰分析は、結果として動いた数字を、それを動かしたと考えられる複数の数字で説明する式を作る手法です。説明される側に置くのは1つだけです。問い合わせ件数、受注件数、売上といった、判断の対象になる数字です。説明する側には複数を置けます。広告費、送信したメールの本数、セミナーの参加者数、展示会の来場者数、そして季節や営業日数といった条件です。
出てくるのは、説明する側の項目ごとの「係数」です。係数は、その項目が1単位増えたときに、説明される側がいくら動くかを表します。広告費が10万円増えると問い合わせが3件増える、といった形になります。係数は、ほかの項目を動かさずにその項目だけを動かしたときの取り分として読みます。この「ほかを止めて1つだけ」という読み方が、相関との決定的な違いです。
役割の違いも押さえておきます。同じ式で先の数字を当てることもできますが、実務で効くのは過去の説明のほうです。予測が外れたとき、外れた理由は式の中には書かれていません。一方で過去の説明に使えば、どの項目にいくら配ると何件増えたのかが数字として残り、次の期の配分の根拠になります。この記事は説明の用途に絞ります。
単回帰と重回帰は、答えられる問いが違う
説明する側の項目が1つだけの場合を単回帰、2つ以上ある場合を重回帰と呼びます。名前の違いより大事なのは、答えられる問いが違うことです。単回帰が答えられるのは「この項目と結果は、どういう傾き方でつながっているか」までです。重回帰が答えられるのは「複数の項目のうち、どれがどれだけ寄与したか」です。
冒頭の例で単回帰を3回回すと、3つとも強い関係が出ます。これは3つを別々に測っているからで、重なった分が3回とも数えられています。合計すると、実際に起きた増加より大きな数字になります。同じデータに重回帰を1回かけると、重なった分がどこかの項目に寄せられ、合計は実際の増加に近づきます。ここで初めて配分の議論ができます。
では常に重回帰かというと、そうでもありません。項目を増やすほど必要な件数が増え、項目どうしの重なりも起きやすくなります。項目を足すたびに、必要な件数と重なりの危険が同時に増えます。手元にある月次のデータが24行しかないのに項目を8つ置くのは、後述する件数の目安から外れます。単回帰で傾きの向きだけを確かめ、重回帰は絞った項目で回す使い分けが現実的です。
原因1:説明する側に何を置くかを決めずに、手元の数字を全部入れる
実務でいちばん多い崩れ方が、これです。集計ツールから出せる数字を全部並べて、そのまま計算にかけてしまう。表示回数、クリック数、費用、送信数、開封数、来場者数、営業日数。項目が20並ぶことも珍しくありません。計算は通り、数字も出ます。読めないのは、出てきた結果のほうです。
読めなくなる理由は2つあります。1つは、結果の後に起きた数字が混ざることです。問い合わせを説明したいのに、問い合わせのあとに送った確認メールの数を項目に入れると、当然強い関係が出ます。これは寄与ではなく、同じ出来事を2回数えているだけです。もう1つは、あとで扱う項目どうしの重なりです。
決め方は先にあります。項目は、業務の因果の順番で選びます。その項目を動かせば結果が動くと業務側が説明できるものだけを残し、結果より後ろに来る数字を全部落とす。計算にかける前に、なぜこの項目が結果を動かすのかを1行で書けるかを確かめます。書けない項目は、入れても読めません。
原因2:当てはまりの良さを、分析の成績表として読んでいる
回帰分析の出力には、その式が手元のデータをどれだけ言い当てているかを表す指標が付きます。日本語では決定係数と呼ばれます。0から1のあいだの値で、1に近いほどよく言い当てているという意味です。ここを分析の成績表として読んでしまうのが、2つめの崩れ方です。
問題は、この指標が項目を増やすだけで上がりやすいところにあります。説明する側を足せば、手元のデータとのずれは減っていくからです。だから統計の解説では、項目の数と件数を考えに入れた「自由度調整済み」の指標を併せて見るよう整理されています。項目を足して当てはまりが上がった場合は、上がったのではなく増やしただけの可能性があります。調整した指標が下がっていれば、その項目は足すべきではありません。
そして、当てはまりが高いことは正しさの保証になりません。手元の24か月をよく言い当てる式が、来月にも当てはまるとは限らないからです。当てはまりの良さは、式が手元のデータに合っている度合いにすぎません。配分の判断に使うのは当てはまりの値ではなく、項目ごとの係数と、その係数がどれだけ信頼できるかです。
原因3:説明する側の項目どうしが重なっている
3つめが、いちばん数字を暴れさせる原因です。説明する側の項目のなかに、互いによく似た動きをするものが混ざっている状態を、多重共線性と呼びます。回帰分析は、説明する側の項目が互いに独立していることを前提にしています。ここが崩れると、項目ごとの取り分を計算する土台そのものが失われます。
具体的にどうなるか。統計の解説では、項目どうしに強い相関があると係数の推定の精度が極端に落ち、値が不安定になったり、符号が本来とは逆になったりすると整理されています。広告費を増やしたのに係数が負になる、という出力を見たら、まずここを疑います。数字は嘘をついていません。重なった2つの項目のあいだで、取り分の押し付け合いが起きているだけです。
見つけ方は2つあります。1つは、説明する側の項目どうしの相関を先に見ておくこと。もう1つは、重なりの程度を測る専用の指標を使うことです。実務の解説では、この指標が5から10で要注意、10以上で強い重なりがあると扱われることが多いようです。対処は片方を落とすか、2つをまとめて1つの項目にするのが基本です。広告費と表示回数のように、ほぼ同じ動きをする項目を両方入れる必要はありません。
原因4:効き方の時間差を、同じ月の中に押し込んでいる
4つめは時間の扱いです。施策の効果は、動かした月にすべて出るわけではありません。今週出した広告の効果が翌週以降にも一部残る現象は、繰越効果や残存効果と呼ばれ、広告の効果を測る領域では標準的に扱われています。同じ月の費用と同じ月の問い合わせだけを並べると、この残った分が丸ごと抜け落ちます。
抜け落ちるとどうなるか。効果が遅れて出る施策の係数が小さく出ます。展示会やセミナーのように、その場で決まらず数か月後の商談につながる施策は、この形で過小に評価されがちです。即効の施策が高く、遅効の施策が低く出るのは、施策の優劣ではなく測り方の癖です。この状態で配分を決めると、遅く効く施策から順に予算が削られていきます。
何か月前まで列を置くかは、商談の長さから決めます。問い合わせから受注までの中央値が3か月なら、展示会の効果を受注で測るには3か月前の列が要ります。問い合わせで測るなら1か月前で足りることが多いです。時間差の列は、施策ごとに別の長さを置いて構いません。広告は当月、セミナーは1か月前、展示会は2か月前という組み方が、実務ではいちばん自然になります。
扱い方は2つです。1つは、説明する側に1か月前や2か月前の数字を別の項目として置くこと。もう1つは、季節や条件を項目として明示することです。1年分だけを見ると、増減がキャンペーンの効果か季節の波かを分けられません。年末に問い合わせが増える商材で12月の施策を評価すると、季節の分まで施策の成果に乗ります。なお、広告の効果を全体として測る手法は別の話題なので、ここでは触れません。
原因5:件数が足りないまま項目を増やし、外れ値をそのまま入れている
5つめは件数です。月次の集計で2年分なら24行しかありません。この24行に対して項目を8つ置くと、何が起きるか。式は手元の24行をよく言い当てますが、その式は24行の凹凸をなぞっただけのものになります。項目ごとの係数は、少し行を入れ替えるだけで大きく変わります。
目安として使われている経験則があります。説明する側の項目1つに対して最低10件から15件、全体では項目の数の10倍から20倍程度の件数が望ましい、という整理です。重回帰では「件数を15で割った数まで」を項目の数の上限として扱う説明もあります。24行なら、置ける項目は1つか2つという計算になります。この目安を先に当てるだけで、無理な計算をかける前に止まれます。
件数を増やす方向も検討します。月次を週次にすれば行は4倍になりますが、週次では施策と結果の対応がずれる商材もあります。それでも足りないときは、回帰分析ではなく、施策を1つずつ動かした期間を作って比べるほうが早いことがあります。外れ値の扱いも先に決めます。1日で通常の10倍の問い合わせが来た日があるなら、その原因を確かめ、施策と無関係なら除いて再計算し、除いた事実を記録に残します。
- 本文で挙げた指標の目安と件数の経験則は、統計や分析の実務解説で広く使われている値です。分野や目的によって扱いが変わるため、重要な判断に使う前に自社の分析担当や専門家に確認してください
- 例に出した数字は、説明のために組み立てたものです。自社の実測値ではありません
工程1:問いを1つに絞り、説明される側を決める
ここから対策です。5つの工程は順番に意味があり、後ろの工程が前の工程の結果を使います。最初にやるのは、答えたい問いを1つに絞ることです。「マーケティングの成果を分析する」では絞れていません。「来期の予算を、検索広告とセミナーと展示会にどう配るか」まで書くと絞れます。
問いが決まると、説明される側が決まります。予算配分の問いなら、置くのは問い合わせ件数か商談件数か受注件数のどれか1つです。複数を同時に説明しようとすると、項目の選び方が両方に引っ張られて決まりません。どれを置くかは、施策との距離で選びます。受注は営業の要因が強く混ざるので、施策の寄与を見たいなら問い合わせか商談のほうが読みやすくなります。
この工程で必ず書き残すのが、測る期間と1行の単位です。2024年4月から2026年3月の月次で、1行は1か月、対象は国内の新規のみ。期間と単位を書いていない数字は、測り直すたびに違う値になります。あとから誰かが再計算できる形にしておくことが、この工程の目的です。
工程2:説明する側の候補を出し、重なりで削る
次に、説明する側の候補を出します。ここは広く出して構いません。ただし1項目ずつ、なぜそれが結果を動かすのかを1行で書きます。書けない項目はこの時点で落とします。結果より後ろに来る数字も落とします。前段の原因1で見た形の混入を、ここで止めます。
残った候補を、重なりで削ります。手順は、候補どうしの相関を一覧にして、強く動きが揃っている組を探すこと。組が見つかったら、業務側で動かせるほうを残します。広告費と表示回数なら、動かせるのは費用です。セミナーの開催数と参加者数なら、目的によって選びます。両方入れて係数の符号が反転してから気づくと、その回の結果は全部読み直しになります。
削ったあとで、件数の目安を当てます。行が24なら項目は1つか2つ。行が96の週次なら項目は6つ程度まで。ここで項目が入り切らないなら、項目を減らすのではなく、問いを分けます。検索広告とセミナーの比較、という問いに絞れば、展示会の項目は落としても構いません。1回の計算で全部を測ろうとしないことが、この工程の要点です。
工程3:期間と粒度をそろえ、時間差と季節を入れる
3つめは、データを並べる作業です。ここで手が止まる原因は、たいてい期間のずれです。広告費は日次で取れ、セミナーは開催日単位、展示会は3日間で1件。これらを同じ行に並べるには、粒度をそろえる必要があります。月次にそろえるのがいちばん簡単ですが、行が減るという代償があります。
そろえたあとに、時間差の項目を足します。前月の広告費、前々月のセミナー参加者数といった形で、遅れて効く分を別の列にします。列を足すと必要な件数も増えるので、時間差を入れる項目は、遅れて効くと業務側で説明できるものだけに絞ります。全項目に前月分を足すと、項目の数が倍になって件数の目安から外れます。
季節と条件も列にします。月の営業日数、決算期にあたるかどうか、大型連休を含むかどうか。季節を列にしないと、季節の分が近くにある施策の係数に吸われます。あわせて、計測の切り替えがあった月も列にするか、期間から外します。計測の入れ替えで数字の水準が変わった月をそのまま入れると、その月だけが外れ値のように働きます。
工程4:係数を読み、疑う順に確かめる
計算が通ったら、読む順番があります。最初に見るのは当てはまりの値ではなく、係数の符号です。業務の実感と逆向きの符号が1つでもあれば、そこで止めて項目どうしの重なりを確かめます。符号がすべて実感どおりなら、次に大きさを読みます。
大きさは、単位をそろえて読みます。項目ごとに単位が違うままでは比べられないので、1件増やすのにいくらかかるかという形に直します。広告費なら費用を係数で割る、セミナーなら1本あたりの費用を係数で割る。この形にすると、配分の議論に直接使えます。あわせて、その係数が偶然でも出てしまう確率を確認します。この確率が大きい項目は、効いていないのではなく、この材料では分からないという意味です。効果がないという結論と、材料が足りないという結論は別のものです。
最後に3つの確かめをします。期間を前半と後半に割って、同じ符号が出るか。項目を1つ抜いて、残った係数が大きく動かないか。外れ値の月を除いて、結論が変わらないか。この3つのうち1つでも結論が変わるなら、その数字は会議に出しません。数字を出さない判断ができることが、この工程の価値です。
工程5:予算配分の判断に落とし、次の期で測り直す
最後の工程は、数字を判断に落とす作業です。ここで注意するのは、係数をそのまま配分の比率にしないことです。係数は、測った範囲の中での関係を表しています。広告費を月100万円から150万円に増やした範囲で得た係数を、月500万円まで伸ばしたときにそのまま当てられる保証はありません。増やすほど1件あたりの費用は上がっていくのが普通です。
だから、動かす幅を先に決めます。前の期からの増減は2割まで、といった形です。測った範囲の外へ一気に動かすと、次の期の数字が測り直しに使えなくなります。2割ずつ動かして毎期測り直すほうが、1回で大きく動かして理由が分からなくなるより速く前に進みます。あわせて、動かした項目と幅を記録に残します。
記録に残す形も決めておきます。期ごとに、動かした項目、動かした幅、そのときの係数、実際に出た結果の4つを1行にまとめます。3期ぶん並ぶと、係数が安定している項目とそうでない項目が目で見て分かります。安定しない項目は配分を動かす対象から外し、据え置きにします。据え置いた項目は、次の計算では比較の基準として働きます。
そして、次の期に測り直す前提で組みます。配分を変えた期のデータは、次の分析の材料になります。今期は広告を2割増やし、セミナーを据え置いた。この差があるからこそ、次の計算で2つの項目が別々に動いた行が手に入ります。3つを毎回同じ向きに動かしていると、いつまでも重なりが解けません。配分を変えること自体が、測るための材料づくりになります。
用語の対応表と、出す前に確かめる項目
社内で説明するときに、専門用語のままでは通りません。日本語の言い方と、それが何を指すかを1枚にしておくと、会議での質問が減ります。表の右端は、冒頭の例に当てはめた読み方です。
| 専門の言い方 | 何を指すか | 例に当てはめた読み方 |
|---|---|---|
| 説明される側 | 結果として動いた数字。1つだけ置く | 翌月の問い合わせ件数 |
| 説明する側 | 結果を動かしたと考える要因。複数置ける | 広告費、セミナーの参加者数、展示会の来場者数 |
| 係数 | その項目が1単位増えたときに結果がいくら動くか | 広告費が10万円増えると問い合わせが3件増える |
| 当てはまりの良さ | その式が手元のデータをどれだけ言い当てているか | 項目を足すと上がるので、調整した指標と併せて見る |
| 偶然でも出る確率 | その係数が偶然でも出てしまう程度 | 件数が少ないと、どの項目もこの確率が大きく出る |
| 項目どうしの重なり | 説明する側の項目が似た動きをしている度合い | 広告費と表示回数はほぼ同じ動きになる |
| 時間差の項目 | 遅れて効く分を別の列にしたもの | 前月のセミナー参加者数を別の列に置く |
表と併せて、会議に出す前の確認を一覧にしておきます。ここを通していない数字は、質問1つで崩れます。
- 説明される側は1つに絞られているか。期間と1行の単位が書かれているか
- 説明する側の項目に、なぜ結果を動かすのかを1行で書けないものが混ざっていないか
- 結果より後に起きた数字が項目に入っていないか
- 項目の数に対して、件数が10倍から20倍の目安に収まっているか
- 項目どうしの重なりを確かめ、似た動きの組は片方に絞ったか
- 遅れて効く施策の時間差の列と、季節や営業日数の列を入れたか
- 係数の符号が業務の実感と揃っているか。逆向きのものは重なりを疑ったか
- 期間を半分に割る、項目を1つ抜く、外れ値を除く。この3つで結論が変わらないか
- 除いた行と、その理由を記録に残したか
生成AIに計算させるときの渡し方と、判断させない範囲
回帰分析の計算そのものは、生成AIに任せられる作業です。表を渡して手順を説明すれば、計算も表の整形も文章の下書きも出てきます。効くのは、行の並べ替え、時間差の列づくり、重なりの一覧、そして結果を社内向けの文章に直すところです。どれも人の手だと半日かかり、量が読める作業ほど向いています。
ただし、渡し方に順番があります。この順番を守らないと、出てきた数字が何を計算した結果なのか分からなくなります。
何を1つの結果として置くのか、期間と1行の単位は何かを最初に書きます。ここを渡さないと、手元の列から都合の良いものが選ばれます。
列の名前だけでは、結果の後に起きた数字かどうかが判断できません。どの時点で記録された数字かを、列ごとに書き添えます。
係数を先に見ると、数字に引っ張られて項目を選び直せなくなります。重なりの一覧を見て、残す項目を人が決めてから計算に進みます。
外れ値を黙って除いた計算は再現できません。何行を除き、なぜ除いたかを一覧で出させ、人が業務の記録と突き合わせます。
文章だけを受け取ると、どの数字がどこから来たのか追えません。文章の各行に、参照した数字を併記させます。
そのうえで、混ざりやすい誤りを押さえておきます。生成AIでデータ分析をするときの落とし穴として、外れ値、相関と因果の取り違え、件数の不足、材料の偏りの4つを挙げた解説があります(NTT東日本のコラム)。どれも、AIの側からは見えない性質のものです。実際の出力では、次の形で現れます。
- 手元にない列の数字が、もっともらしい値で埋まっている(推測で補われている)
- 相関しか見ていないのに、原因と結果の言葉で結論が書かれている
- 24行に項目を8つ置いた計算が、そのまま結論として出てくる
- 外れ値を除いた計算だけが示され、除いた行と理由が書かれていない
- 当てはまりの良さが高いことを、結論が正しい根拠として書いている
見分ける方法は1つです。人が確認する範囲を先に決めます。おすすめは、係数を1つだけ手元の表で計算し直すこと、除いた行を全件、業務の記録と突き合わせること、そして結論の文章に出てくる数字を3つだけ元の表から拾い直すことです。この3つなら30分で終わります。範囲を決めないと、忙しい月に確認が丸ごと飛びます。
そして、配分の判断はAIに出させません。理由は精度ではなく責任です。予算を動かした結果を引き受けるのは、判断した人であって計算した道具ではありません。AIに出させるのは、係数と、その根拠になった数字の出どころまで。どこにいくら配るかを決めるのは人です。根拠が元の表まで追える形になっていれば、この分担は無理なく続きます。
まとめ
複数の施策を同じ月に動かしたあとで配分が決められないのは、データが足りないからではありません。同時に動いた要因を1つずつの寄与に分ける道具を使っていないからです。回帰分析は先を読む道具ではなく、過去に起きた結果を、要因ごとの取り分に割り戻す道具です。相関のままで止まると、結論は「3つとも効いた」で終わります。
数字が暴れる原因は5つに集まります。手元の数字を全部入れること、当てはまりの良さを成績表として読むこと、項目どうしが重なっていること、遅れて効く分を同じ月に押し込むこと、そして件数が足りないまま項目を増やすことです。この5つは、計算のあとでは直せません。だから工程を先に置きます。問いを絞り、項目を重なりで削り、粒度をそろえて時間差と季節を入れ、係数を疑う順に確かめ、動かす幅を決めて次の期に測り直す。
生成AIは、この5工程のうち計算と整形と下書きを短くしてくれます。ただし重なりの一覧を先に出させ、除いた行と理由を必ず書かせる。配分の判断はAIに出させず、人が検算する範囲を先に決める。まずは手元の月次の表を開き、行の数を項目の数で割ってみてください。10を下回っていたら、計算の前に問いを分けるところから始まります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
データ分析にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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