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出荷前の荷姿写真から荷札の不備と積付け不良を見つける

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

出荷直前に撮った荷姿の写真を入力に、荷札の出荷番号と届け先を読み取って出荷指示データと突き合わせ、さらに「取扱表示のラベルが貼られているか」「段ボールが潰れていないか」「パレットからはみ出していないか」を判定する構成です。

サマリー
利用ツール
AWS Textract/Azure AI/ChatGPT/Claude/Gemini/Google Document AI/Make/n8n/Power Automate
対象業界
EC/小売/物流/製造
対象部門
物流
対象業務
データ入力・転記/内容確認・チェック
主な課題
人手が足りない/属人化している/確認ミスが多い
AIで行う処理
画像認識
主な効果
品質標準化/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
100h/月
AI導入後
33.3h/月
想定削減
67%
年間削減
800h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. WMSから出荷指示のピッキングリストが出る
  2. 担当者が棚から商品を集め、梱包する
  3. 送り状(荷札)を発行して貼る
  4. 割れ物・天地無用・積み重ね禁止などの取扱表示ラベルを、品目に応じて貼る
  5. 荷姿を目で見て、荷崩れやはみ出しがないかを確認する
  6. 端末で写真を2〜4枚撮る
  7. 写真を共有フォルダへ送る(出荷番号をファイル名に手入力する)
  8. トラックに積む
導入後(After)
  1. 担当者が梱包し、荷札と取扱表示ラベルを貼る
  2. 端末のアプリで出荷番号を読み取り(バーコード)、決められた向きから写真を撮る
  3. 自動写真がクラウドの保管先へ保存され、出荷番号と紐づく
  4. 自動荷札の文字をOCRで読み取り、出荷指示データの届け先・出荷番号と突き合わせる
  5. 自動荷姿の写真から、取扱表示の有無、荷崩れ、はみ出し、破損を判定する
  6. 自動判定結果を端末に返す(数秒)
  7. 指摘があった荷物だけ、担当者がその場で確認して直す
  8. 自動写真と判定結果をWMSの出荷レコードに紐づけて保存する
  9. トラックに積む
各工程の詳しい説明を読む
  1. WMSから出荷指示のピッキングリストが出る
  2. 担当者が棚から商品を集め、梱包する
  3. 送り状(荷札)を発行して貼る
  4. 割れ物・天地無用・積み重ね禁止などの取扱表示ラベルを、品目に応じて貼る
  5. 荷姿を目で見て、荷崩れやはみ出しがないかを確認する
  6. 端末で写真を2〜4枚撮る
  7. 写真を共有フォルダへ送る(出荷番号をファイル名に手入力する)
  8. トラックに積む

問題は4つあります。

(a)確認する項目が人の記憶に残っている。 「この客先は必ず天地無用を貼る」「この品目は2段積みまで」といった決まりが、手順書ではなくベテランの頭の中にあります。新任は貼り忘れます。

(b)写真が使われていない。 撮った写真は共有フォルダに溜まりますが、誰も見ません。クレームが来たときに探し、ファイル名の入力ミスで見つからないこともあります。

(c)出荷後に発覚する。 荷札の貼り間違い(別の届け先の送り状を貼る)は、届いてから相手先の連絡で分かります。回収と再送のコストが発生します。

(d)繁忙時に確認が飛ぶ。 締め切り前の1時間に出荷の3割が集中します。この時間帯は、確認が形だけになります。

  1. 担当者が梱包し、荷札と取扱表示ラベルを貼る
  2. 端末のアプリで出荷番号を読み取り(バーコード)、決められた向きから写真を撮る
  3. 【自動】 写真がクラウドの保管先へ保存され、出荷番号と紐づく
  4. 【自動】 荷札の文字をOCRで読み取り、出荷指示データの届け先・出荷番号と突き合わせる
  5. 【自動】 荷姿の写真から、取扱表示の有無、荷崩れ、はみ出し、破損を判定する
  6. 【自動】 判定結果を端末に返す(数秒)
  7. 【人】 指摘があった荷物だけ、担当者がその場で確認して直す
  8. 【自動】 写真と判定結果をWMSの出荷レコードに紐づけて保存する
  9. トラックに積む

自動化されるのは「読む」「突き合わせる」「記録する」の3つです。残るのは「指摘された箇所を直すかどうかの判断」だけになります。

撮影そのものは自動化されません。ここは人が続けます。

02今回想定するシステム構成

構成図
出荷担当の業務用端末
   │  バーコードで出荷番号を読む → 決められた向きから撮影
   ▼
SharePoint の出荷写真フォルダ(ファイル名=出荷番号_連番)
   │
   ▼【トリガー】ファイルが作成されたとき
Power Automate
   │
   ├──▶ Azure AI Vision(Read OCR)
   │       └─ 荷札の出荷番号 / 届け先 / 品番 を文字として取得
   │
   ├──▶ WMS の出荷指示データを照会(出荷番号で引く)
   │
   └──▶ Claude API(画像入力)
           └─ 取扱表示の有無 / 荷崩れ / はみ出し / 破損 を判定
   │
   ▼
判定結果を端末へ返す ──【指摘があれば人が確認して直す】
   │
   ▼
写真 + 判定結果を出荷レコードへ保存
役割想定する製品代替候補
生成AIClaude API(画像入力)Gemini API、OpenAI API
OCRAzure AI Vision(Read OCR)Google Document AI、AWS Textract
ワークフローPower AutomateMake、n8n
撮影アプリPower Apps(画像の追加コントロール)各社のハンディ端末アプリ
保管SharePointBox、Google Drive
出荷データWMS基幹システムの出荷テーブル

「文字を読む」と「状態を見る」で製品を分けている点が要点です。 荷札の出荷番号や届け先は文字なので、OCR専用サービスのほうが正確で安価です。一方、「荷崩れしているか」「ラベルが貼られているか」は、判定基準を文章で伝えられる生成AIのほうが向いています。専用の画像認識モデルを自社で学習させる方法もありますが、不良の写真を数百枚集める必要があり、最初の一歩には重すぎます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

出荷写真フォルダにファイルが作成されたことを起点にします。Power Automate の SharePoint コネクタには「ファイルが作成されたとき」トリガーが標準で用意されています。

1件の出荷につき複数枚を撮るため、1枚目が届いた瞬間に判定を始めない設計にします。撮影アプリ側で「撮影完了」を押したときにまとめてアップロードするか、フォルダに完了を示す目印のファイルを最後に置き、それをトリガーにします。1枚ずつ判定すると、まだ撮っていない面について「取扱表示が見当たらない」と誤って指摘します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
荷姿写真1出荷あたり3〜5枚(正面・側面・上面・荷札の寄り)撮影アプリ → SharePoint
出荷指示出荷番号、届け先名、住所、品番、数量、梱包数WMS
品目マスタ品番、必要な取扱表示(天地無用・割れ物・積み重ね禁止)、最大積み段数基幹システム
得意先マスタ得意先ごとの荷姿ルール(ラップ必須、パレット指定、伝票の貼付位置)基幹システム
判定基準の文書自社の出荷基準を箇条書きにしたもの社内文書

最後の「判定基準の文書」が、この構成のいちばんの仕込みです。 ベテランの頭の中にある決まりを、AIに渡せる文章にする作業がここに当たります。実装よりもこの整理に時間がかかります。

Step3

データの取得方法を決める

写真: 撮影アプリからクラウドの保管先へ保存します。Power Apps を使う場合、標準のカメラコントロールで撮った画像は最大解像度が640×480ピクセルに制限されます。荷札の文字を読むにはこの解像度では足りないため、フル解像度が扱える「画像の追加」コントロールを使います。 ここは実装前に必ず確認してください。

出荷指示・マスタ: WMSまたは基幹システムのAPIから出荷番号で引きます。APIがない場合は、当日分の出荷指示を朝に一括でエクスポートし、ワークフローから参照できる場所に置く方式でも足ります。リアルタイム連携は必須ではありません。

判定基準: 品目マスタと得意先マスタから機械的に引ける条件(必要な取扱表示、最大積み段数)と、文章でしか書けない条件(「ラップは天面まで巻く」など)に分けます。前者はプログラムで条件を組み立て、後者はプロンプトに載せます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 撮影枚数と向きの確認 … 決められた枚数が揃っているかを先に数えます。足りなければ判定に入らず、撮り直しを促します。AIに「写っていないもの」を判断させると誤ります
  2. 画像の縮小 … 生成AIに渡す画像は、大きすぎると自動的に縮小されます。Claude では画像を28×28ピクセルの区画に分けて数える方式で、標準の解像度帯では長辺1568ピクセル・1568トークンが上限、高解像度に対応するモデルでは長辺2576ピクセル・4784トークンが上限です。送る前に自分で縮小しておくほうが、仕上がりが読めます
  3. 荷札部分の切り出し … 荷札の寄り写真は、全体写真とは別に撮ります。全体写真を縮小すると文字が読めなくなるためです
  4. 明るさの確認 … 倉庫は照明の当たり方に差が出ます。極端に暗い写真は、判定に入る前にはじいて撮り直しにします
  5. 人の写り込みの扱い … 作業者が写り込んだ写真は、人が入らない角度で撮り直すルールにします
Step5

AIに処理させる

OCRと生成AIで役割を分けます。

OCR(Azure AI Vision の Read)にさせること: 荷札の文字の読み取り。出荷番号、届け先名、住所、品番。ここは生成AIにさせません。文字の読み取りは専用の機能のほうが正確で、費用も安く済みます。読み取った文字列と出荷指示データの突き合わせは、AIではなくプログラムで行います。文字列が一致するかどうかの判定をAIに任せる理由はありません。

生成AI(Claude API の画像入力)にさせること:

処理内容
取扱表示の確認天地無用・われもの注意などのラベルが貼られているか、向きが合っているか
荷札の貼付状態剥がれていないか、折れて読めなくなっていないか、複数枚が重なって貼られていないか
積付けの判定段が崩れていないか、パレットからはみ出していないか、ラップが巻かれているか
外装の破損段ボールの潰れ、濡れ、穴
前回との比較同じ得意先の前回の荷姿写真と並べ、明らかに違う点があれば指摘する

数量はAIに数えさせません。 画像から個数を数える処理は、対象が多いと正確とは限らないことが公開資料に明記されています。梱包数はWMSの出荷指示データを正とし、AIには見た目の印象を返させるにとどめ、これだけで出荷を止める判断には使いません。

人物の特定もさせません。 誰が作業したかを写真から判定する使い方はしません。作業者の記録は、端末のログイン情報から取ります。

Step6

指示内容を固定する

あなたは出荷検品を支援する担当者です。
出荷前に撮影した荷姿の写真を見て、下の【判定項目】について
問題があるかどうかを判定してください。

【厳守事項】
- 写真から読み取れないことは判定しないでください。
  角度・明るさ・隠れなどで見えない項目は "unknown" とし、
  reason に「何が見えないか」を書いてください。
- 箱の個数を数えないでください。梱包数は別途システムから照合します。
- 写真に人が写っている場合、その人については何も記述しないでください。
- 「たぶん貼られている」で ok を返さないでください。
  ラベルの文字または図柄が実際に見えている場合だけ ok にしてください。
- 出荷を止めるかどうかの判断はしないでください。
  判定結果と根拠だけを返してください。

【この出荷の条件】
出荷番号: {shipment_no}
届け先: {customer_name}
必要な取扱表示: {required_labels}
最大積み段数: {max_stack}
この得意先の荷姿ルール: {customer_rule}

【自社の出荷基準(抜粋)】
{shipping_standard}

【判定項目】
1. 必要な取扱表示がすべて貼られているか
2. 取扱表示の向きが正しいか(天地無用が横向きになっていないか)
3. 荷札が剥がれ・折れ・重なりなく貼られているか
4. 積付けが崩れていないか
5. パレットからのはみ出しがないか
6. ラップが指定どおり巻かれているか
7. 外装に潰れ・濡れ・穴がないか

【写真】
Image 1: 正面
Image 2: 側面
Image 3: 上面
Image 4: 荷札の寄り

「読み取れないことは判定しない」「たぶんで ok を返さない」の2行が重要です。 生成AIは、低品質な写真や傾いた写真で誤った解釈をすることがあると公開資料に明記されています。見えないものを「たぶん大丈夫」と返されると、この仕組みは信用できなくなります。判定が unknown に倒れるほうが、誤った ok より安全です。

「出荷を止める判断はしない」も入れます。止めるかどうかは人が決めます。

Step7

出力形式を固定する

{
  "shipment_no": "",
  "photo_count": 0,
  "checks": [
    {
      "item": "required_label | label_direction | waybill | stacking | overhang | wrap | damage",
      "result": "ok | ng | unknown",
      "confidence": "high | medium | low",
      "image_ref": "Image 1",
      "reason": ""
    }
  ],
  "overall": "pass | review",
  "notes": ""
}

構造化した形で返させる理由は、後段が人ではなく仕組みだからです。判定結果を端末の画面に色分けして出し、ng の件数でアラートを出し、あとから「どの項目が何件 ng だったか」を集計します。文章で返させると、この3つがどれもできません。

Claude API には、返す形をJSONスキーマで指定して守らせる構造化出力の機能があります。overall に想定外の値が入って後段が止まる、といった事故を防げます。

overall は pass と review の2値にとどめ、出荷停止を意味する値は作りません。止めるのは人の判断だからです。

Step8

システムへ連携する

判定結果の戻し先は3か所です。

戻し先何を入れるか
撮影端末の画面判定結果を項目ごとに色分けして即時表示する。ng は写真のどれを見ればよいかも出す
WMSの出荷レコード写真のリンク、判定の総合結果、ng の項目、確認者、確認日時
日次のサマリng の項目別件数、担当者別・得意先別の傾向

1番目の即時表示がこの構成の肝です。 判定に30秒かかったり、結果がメールで後から届いたりすると、担当者は待たずに積んでしまいます。撮影から判定表示までを10秒以内に収める設計にしてください。収まらない場合は、判定項目を減らします。

WMSへの書き戻しは、APIがあればAPI、なければ日次のCSV取込でも足ります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。

Step9

人が確認する

指摘があった荷物だけを人が確認します。全件確認には戻しません。

理由は、この構成が置き換えているのが「見落とし」だからです。全件を人が見直すなら、導入前と工数が変わりません。ただし、無条件に自動で通すわけでもありません。次の3つは必ず人に回します。

  • ng がひとつでもある
  • unknown が2つ以上ある(写真の撮り方に問題がある可能性が高い)
  • 荷札のOCR結果と出荷指示データが一致しない(届け先違いは最も損害が大きい

3番目はAIの判定ではなく、文字列の突き合わせです。ここは自動で止めてよい種類の判定なので、一致しない場合は端末に大きく警告を出します。

出荷そのものを機械的に止める仕組みは作りません。倉庫の締め切り時刻に、システムが出荷を止めると現場が回らなくなります。 警告を出し、担当者が確認して進めるか直すかを決める形にします。

Step10

例外に対処する

起きること対応
写真の枚数が足りない判定に入らず、撮り直しを促す。不足のまま判定しない
暗い・ぶれている・逆光unknown を返し、撮り直しを促す。推測で ok にしない
ストレッチフィルム越しで荷札が読めない荷札はフィルムの外側、または寄りの1枚を別に撮るルールにする
荷札のOCRが読めない出荷番号はバーコードから取る(写真のOCRは補助)。読めない場合は人が確認
出荷指示データが見つからない出荷番号の読み取り誤りの可能性がある。人に回す
1出荷で複数パレットパレットごとに出荷番号の枝番を付け、それぞれ判定する
得意先固有のルールが登録されていない共通の判定項目だけで判定し、備考に未登録である旨を出す
AIの応答が返らない・遅いタイムアウトを10秒で切り、判定なしとして通常の目視確認に戻す。止めない
締め切り前に判定が集中する判定を並列で処理する。同時実行数の上限を決めてAPIの制限に当たらないようにする
誤検知が続く(実際は問題ないのに ng)判定項目ごとに誤検知率を集計し、多い項目は判定対象から外すか、基準の書き方を直す

最後から2番目の「止めない」は、この構成の設計思想です。 AIが応答しないときに出荷が止まる仕組みは、倉庫では使われなくなります。

Step11

記録を残す

  • 荷姿写真(出荷番号に紐づけて保管。保管期間は自社のクレーム対応期間に合わせる)
  • OCRの読み取り結果(生の状態)
  • AIの判定結果(判定項目の全件と確信度)
  • 撮影者、撮影日時、確認者、確認日時
  • 人が「実際は問題なかった」と判断して通した記録

最後の項目が改善の材料になります。はみ出しで ng が出るが人が毎回通している、という状況が見えれば、判定基準の書き方が現場の運用と合っていないと分かります。

判定結果は、クレーム対応の証跡にもなります。「出荷時点でこの荷姿だった」と写真と判定記録で示せるため、輸送中の損傷か出荷時の不備かを切り分けられます。

04実装レベルの3段階

最小構成:生成AIの画面に写真を貼って判定させる。結果は人が見る / 判定のみ(試験用)
半自動化:撮影アプリ → クラウド保管 → OCRと生成AIで判定 → 端末に結果表示 / 読み取り・判定・記録
本格構成:上記+WMSの出荷指示との自動突合+出荷レコードへの書き戻し+日次の傾向集計 / 出荷判断以外のすべて

半自動化の時点で、3分が1.5分程度になります。 撮影と保存の手間(ファイル名の手入力)が消え、目視確認が「指摘された箇所だけ見る」に変わるためです。本格構成では出荷指示との突合が入り、届け先違いという最も損害の大きい誤りが出荷前に止まります。 段階を飛ばさないでください。撮影ルールが固まっていない状態で本格構成を作ると、unknown ばかり返る仕組みになります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
2,000 件
1件あたり現在時間
3 分
1件あたり導入後時間
1 分
現在  2,000件 × 3分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 2,000件 × 1分 ÷ 60 = 33.3 時間/月
月間削減時間
66.7h
削減率
67%
年間削減時間
800h
年間金額換算(時間単価2,500円)
200万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 出荷が月1,000件以上あり、出荷前に荷姿の写真をすでに撮っている企業。出荷指示データ(出荷番号・届け先・品番・数量)がWMSや基幹システムから取り出せること。誤出荷や荷崩れのクレームが月に数件出ていること。
向いていない
  1. 出荷が定型の1品目だけで、荷姿が毎回同じ場合。写真をまだ撮っていない現場(先に撮影と保存の運用を作るほうが効果が大きい)。自動倉庫や重量検品機ですでに数量誤りを機械的に止められている場合。

07最小構成で試す方法

  1. 直近の出荷写真を30件分用意する(うち10件は、実際に不備があった出荷を混ぜる)
  2. 自社の出荷基準を、判定項目の箇条書きに書き直す(A4で1枚に収める)
  3. Claude や ChatGPT の画面に、写真と判定項目を貼って1件ずつ投げる
  4. 不備のあった10件を、AIが指摘できたかを数える
  5. 問題のなかった20件を、誤って ng にしなかったかを数える

この2つの数を測ることが目的です。 見つけられた数だけを見ると判断を誤ります。誤検知が多い仕組みは、現場が「またか」と無視するようになり、結局使われません。

判断の目安は次のとおりです。

結果判断
不備10件のうち8件以上を指摘、誤検知2件以下進める価値がある
指摘は十分だが誤検知が5件以上判定項目を絞る。まず取扱表示の有無と荷札の貼付状態の2つだけにする
指摘が5件以下写真の撮り方(角度・枚数・明るさ)を先に直す。AIの問題ではないことが多い

3番目が実際にはいちばん多く起きます。 現在の写真は後から見返すために撮られているので、判定に必要な面が写っていないことがよくあります。撮影ルールを決め直してから測り直してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
撮影アプリの画像が粗く、荷札の文字が読めないPower Apps の標準カメラコントロールは最大640×480ピクセル。「画像の追加」コントロールを使う
全体写真を縮小したら荷札が読めなくなった全体写真と荷札の寄り写真を分けて撮る。1枚で兼ねない
写っていない面について「ラベルがない」と指摘される撮影枚数が揃ってから判定を始める。1枚ずつ判定しない
ストレッチフィルムの反射で読めない荷札はフィルムの外側に貼る運用に変える。または寄りを別に撮る
判定に時間がかかり、現場が待たずに積む判定項目を減らす。10秒を超えるなら構成を見直す
誤検知が多く、現場が警告を無視するようになる判定項目ごとに誤検知率を集計し、多い項目を外す。全項目を一度に入れない
AIが箱の数を数え違える数量は判定させない。WMSの梱包数を正とする
作業者が写り込む撮影の向きを決める。人物の判定はさせない
得意先ごとのルールが増えて管理できないマスタで持てる条件(必要ラベル・積み段数)と文章の条件を分ける。文章の条件は10件以内に抑える
写真の保管容量が増え続ける保管期間を決める(クレーム対応期間に合わせる)。判定結果だけは長く残す

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 荷札に印字された届け先の社名・住所・担当者名、品番、出荷数量。個人宅への配送がある場合は、個人情報が含まれます。

  1. 外部AIへの入力可否 … 荷札には届け先の情報が写ります。個人宅配送の比率が高い事業では、氏名と住所が外部サービスへ送られることになります。自社の個人情報の取扱方針と照らして判断してください。荷札の寄り写真だけをOCRに送り、生成AIには荷姿の全体写真だけを送るという分け方で、送る情報を減らせます
  2. 人の写り込み … 作業者が写る可能性があります。生成AIには人について記述させない指示を入れ、撮影の向きも決めます。画像から人物を特定する使い方はできません(生成AIサービスの利用規約で禁じられていることが多く、Claude では明示的に拒否されます)
  3. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます。Claude API では、送った画像はリクエストの処理が終わると削除され、学習には使われないと公開資料に記載されています
  4. アクセス権限 … 出荷写真の保管場所を、物流部門と管理者に限定します。得意先の出荷内容は、社内でも見せる範囲を絞るべき情報です
  5. 自動実行してよい範囲 … 出荷を止める判断は人が行います。AIの判定は警告までです。逆に、荷札のOCR結果と出荷指示の不一致は機械的な突合なので、強い警告を出してよい種類の判定です

誤りが起きた場合のリスクは、誤った荷物の出荷(回収・再送のコスト、得意先の信用低下)と、逆に問題のない荷物を止めることによる納期遅延です。後者を軽く見ないでください。 誤検知で出荷が遅れると、現場はこの仕組みを外します。

10まず何から始めるか

1週目:判定基準を文章にする

ベテラン1名と1時間かけて、「出荷前に何を見ているか」を箇条書きにします。A4で1枚に収めます。この作業ができない、または人によって内容が違う場合は、AI以前の問題です。 そこが分かることも成果です。

2週目:既存の写真で測る

過去の出荷写真30件(不備のあった10件を含む)で、生成AIの画面から判定を試します。見つけられた数と、誤検知の数の両方を数えます。ここで撮影の問題が見つかることが多いため、撮影ルールを決め直します。

3〜4週目:撮影ルールを現場に入れる

AIを入れる前に、撮影の枚数・向き・明るさのルールだけを現場に入れます。この時点で「荷札の寄りを必ず撮る」が定着すれば、それだけでクレーム対応が楽になります。 現場が新しい撮り方に慣れるまでの期間でもあります。

2か月目以降: 撮影ルールが定着したら、判定を自動化します。最初は判定項目を2つ(取扱表示の有無、荷札の貼付状態)に絞り、誤検知が落ち着いてから増やします。並行して、WMSの出荷指示データをどう取り出すかを情報システム部門と決めます。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-09/最終更新:2026-09-09
確認した内容情報源確認日
Claude API が画像入力に対応し、JPEG・PNG・GIF・WebP を扱えること。1画像あたり最大10MB・8000×8000ピクセル。画像は28×28ピクセルの区画ごとに1トークンとして数えられ、標準の解像度帯は長辺1568ピクセル・1568トークン、高解像度に対応するモデルは長辺2576ピクセル・4784トークンが上限。1000×1000ピクセルで約1,296トークン。個数を数える処理は正確とは限らず、低品質・回転した画像では誤ることがあると明記。人物の特定には使えない。送った画像は処理後に削除され学習に使われないClaude Docs: Vision2026-09-09
Power Apps の標準カメラコントロールで撮影した画像は最大解像度が640×480ピクセルであり、フル解像度が必要な場合は「画像の追加」コントロールを使うことMicrosoft Learn: Camera control in Power Apps2026-09-09
Azure AI Vision の Image Analysis に、画像内の文字を読み取る Read OCR が含まれることMicrosoftDocs: Image Analysis overview2026-09-09
Power Automate の SharePoint コネクタに「ファイルが作成されたとき」トリガーがあることMicrosoft Learn: SharePoint コネクタ2026-09-09
Claude API で、返すJSONの形をスキーマで指定して守らせる構造化出力が利用できることClaude Docs: Structured outputs2026-09-09

WMSまたは基幹システムからの出荷指示データの取得方式(API / CSV / 直接参照)は製品によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 ハンディ端末を使う場合は、端末側のカメラ解像度と業務アプリの仕様も確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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